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物流におけるSDGs対策は一石三鳥

SDGs対策は嫌われている?

 企業においてSDGs対策はコストがかかることが多く、どこでも苦労されていると思います。燃料や原材料の値上がりが続く中、コストのかかる対策を忌避したいのは当然のことです。
 ところで、メーカーなどが取り組むSDGs対策は、生産に関わるものが多いかと思います。物流の場面でSDGs対策に取り組まれると、これはコストダウンに効いてきます。そして、現在、国をあげて取り組んでいる物流危機回避にもつながります。

「物流危機」=4分の1の貨物が運べなくなる?!

 物流の世界において今もっとも重大な課題は「物流危機」と言われるものです。ドライバーが不足することによって、運べない貨物が大量に出るおそれがあるのです。
 2028年には28万人のドライバーが不足するという予測があり、このままの状況だと「4分の1の貨物が運べない」事態がやってきます。これを回避するため、国も様々な動きを見せています。国土交通省だけでなく、経済産業省、厚生労働省、農林水産省、公正取引委員会なども動いています。不足状況は予測よりは改善されるでしょうが、いずれにせよ大変な危機です。
 トラック運送事業者も生産性向上のため努力を重ねていますが、物流からムダを省き、一人一人のドライバーがもっと効率的に仕事をするためには、メーカーや問屋、小売業の方など、トラックを使って自社の荷物を運んでいる企業の物流への意識が最も重要です。
 自社の荷物を運送事業者に委託して運ばせている企業のことを「荷主」と総称します。物流を変えるには「荷主」の意識改革が最も重要なのです。

物流におけるSDGs対策は一石三鳥

 これまで荷主は、納品先の要望などの制約に縛られ、物流の改善にあまり積極的に動くことができませんでした。
 でもこれからは、本気でムダを省かないと、自社の商品を運んでくれるトラックがいなくなってしまうかもしれません。そして、ちょうどいいことに、物流からムダを省く対策は、SDGs対策と、ほぼ重なるのです。
 例えば積載効率が低い複数の荷主の荷物を同じトラックに載せ、トラックの走行台数を減らせば、使用するエネルギーが減り、環境負荷を減らすことになります。もちろんコスト抑制につながります。
 走行距離を減らせばドライバーの拘束時間も短縮でき、働き方改革やSDGsの№8「働きがいも経済成長も」にもつながります。
 荷主の方々には、ぜひ物流の場面において無駄を省く取り組みに着手して頂きたいと思います。具体的な対策について、次号以降で紹介していきます。

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