「足るを知る」と「不平家」のあいだ 「PERFECT DAYS」と森鷗外
映画「PERFECT DAYS」を観て以来、ずっともやもやした気持ちを抱えてきた。主人公平山の生き方は素晴らしい。トイレ掃除の仕事を黙々とこなした後に銭湯で疲れを癒やし、帰宅後は古本を読みながら眠りにつく。自分に降り注ぐ木漏れ日に感謝する。物欲から離れ、多くのモノを求めず、今の生活に満足して生きる。監督のヴィム・ヴェンダースや平山を演じた役所広司は平山の生き方にあこがれていると言った。
だが、何か引っかかる。それでは夢を持つのはやめたほうがいいのか、「分をわきまえろ」という