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少子化の遠因を探ると見えてくるもの

恋愛の価値が低下して久しい。最初に非恋愛気質の男性として「草食男子」という言葉が出てきたのは2006年である。その主な原因は男性ホルモン値の低下であり、それはストレスによってもたらされると考えられている。

そのストレスを招く原因の一つが長時間労働である。2021年のデータでみると、週に49時間以上働く男性の割合が10%代の国の出生率は平均1.7だった。一方、日本の男性の長時間労働の割合は22%で、2021年の出生率は1,30だった。2023年は1.20と少子化に拍車がかかっている。

さらに言えば、東京都は全国の都道府県で最も低い0.99だった。これは通勤時間とも関係があるのかもしれない。全国平均片道通勤時間は32.9分であるのに対して東京都は全国第4位の44.0分だった。

一方、最も通勤時間が短い島根県の出生率は、全国で2番目に高い1.69である。全国一位は鉄道のない沖縄であるから、長時間労働と出生率は関係しているだろう。

しかし、これらは結果論から導き出されたデータにすぎない。本当の遠因は他にある。それは恋愛や結婚に対する価値観の変化である。生物は餌の増減を予知して産卵数を調整したり、時には育児放棄までする。

人間も生物なので予知能力を備えているはずだ。無意識にそのような調整がなされていたとしても不思議ではない。それが80歳まで働かないと老後を乗り切れないという説である。北米や北欧に至っては、既に、生涯現役説が語られだしている。

その年齢まで働かざるを得なくなると、当然、恋愛観も結婚観も変わってくる。パートナーの選び方も変わってくる。時とともに変化する容姿や資産力、収益力ではなく、労働ストレスを緩和してくれる「癒しとしての家庭」の方が重要性を帯びてくる。

そのような「無意識の世界の変化」が容姿や金銭より、意思疎通のできる友達のような伴侶を求めだしているのではないだろうか。そうした価値観の変化が可視化できていないために「潜在的な不安」をもたらし、それが恋愛と結婚をとまどわせているのではないだろうか。

答えや方法は既にあるのだけど、まだ、世には出ていないので、若者たちは、潜在的にではあっても、どうすれば良いのかがわからなくなっているとも推測できる。少子化の問題はお金絡みの話ではない。お金で解決できる話ではない。政府も学者もここが分かっていないから、頓珍漢なことになっている。
 


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