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初めて付き合った人

出会い

わたしが通っていた高校は3年間クラス替えがなかった。

クラスメイトは8割が男子で、学力に全振りした秀才オタクの集まりという、キラキラJKとはかけ離れた高校生活の始まり。

そこでわたしと彼が惹かれ合うのに時間はかからなかった。

彼はクラスの中でイケてる方でもなければ、限界オタクというわけでもない。
特定のグループに属すことなく誰とでも分け隔てなく話すことが標準装備されていて、先生からの信頼もほどほどに厚い。そんな人柄である。

わたしのちっさなボケを見落とさずにケラケラ笑いながら突っ込んでくれる人で、会話をしていてとても心地がいいのだ。

惹かれたきっかけ

彼は努力家というよりは才能を感じられる地頭の良さのようなものがあり、しょうもないライングループの中でお互いのノリを確かめたり、夜な夜なテスト勉強に明け暮れる中で励まし合ったりするうちに、15歳のわたしはだんだんと彼に惹かれていった。

彼はクラス内では珍しい体育会系の部活に属していて、そこがわたしが彼に「性的に」惹かれた最大の要因だろうと、今なら推測できる。

ノリで自撮りを送って「かわいい」と言われた時。
“女としての承認欲求を満たしてくれる男”という存在に初めて出会い、どうしようもなくキュンキュンしたことを覚えている。

高1の夏休み、地元の花火大会にクラスメイトと出かけた時のこと。
気づいたら2人になっていて、花火の明かりに顔を照らされながら、花火の音に胸の鼓動を隠しながら、どちらともなく手を繋いでいた。

2人の関係性が恋仲を意識するものになったのはそれからである。

付き合ったきっかけ

夏が終わり、わたしたちは休みの日も遊びに出かけるようになっていた。

アウトレットに行った帰り、川の土手で告白をされ、了承。

高校生の恋愛らしく、放課後は彼の部活が終わるのを待って一緒に帰ることがお決まりになっていた。

そんなある日のこと。
彼はわたしの最寄駅の裏にある神社で、わたしにキスをした。

神社の地面には小石が敷き詰められているので、2人がキスやハグをするたびに、ザリザリと心地の良い音が耳を刺激する。

誰もいない夜の神社で、初めてのキス。
わたしの甘酸っぱい青春の1ページ。

終焉

しかし、思春期の恋愛あるあるとでも言うのだろうか。

付き合ってからというもの、歯車が狂うように少しずつギクシャクした雰囲気が漂い始め、LINEをすることでさえ小っ恥ずかしくなってしまったのである。

その後、クラスが本格的に受験モードに突入するにつれて、彼とは自然消滅的に終わりを迎えた。

P.S. 彼とは大学に入ってからはまた仲良くなり、今でも定期的に連絡を取り合って飲みに行ったり買い物に行ったりする、大切な友人の1人である。

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