男子校の彼
出会い
当時高校2年生、16歳のわたしは焦りを感じていた。
理系の高校に進学したものの、理系科目には毛頭興味が湧かない。
駿○のような集団授業の大手塾も、東○のようなサテライト形式の塾も自分のやり方に合わない。
周りとの温度差、迫り来る受験…。
どうにかしてこの状況を打破したいと考えていた時、隣の県に少人数制の塾があることを知り、藁にもすがる思いで通ってみることに決めたのである。
そして新しい塾で初めての英語の授業の日、わたしと彼は出会った。
※勉強しろ
惹かれたきっかけ
彼を一目見た時、(うわ…陽キャのイケメンおる…)と思ったことを鮮明に覚えている。
彼は中高一貫の男子校のラグビー部で、日焼けした肌に私立のマークが入った制服のシャツがよく映える、ゴールデンレトリバーのような少年だった。
一方、わたしは何の変哲もないセーラー服を着た明らかに田舎者のJKだったが、後に彼はわたしに一目惚れしたことを明かしてくれた。
そう、わたしたちはお互いに初日から惹かれ合う運命にあったのだ。
※ちなみにわたしは一目惚れが多い。
ところで、英語の授業と恋愛の親和性は非常に高いと感じる。
3人の生徒に対してネイティブの先生が1人ついて、「今日は何してたの?」「好きな○○は何?」などというテーマをもとにトークを繰り広げながら英語力を培うという授業スタイルは、お互いのことを知り、好きになるためには持ってこいの時間だった。
※勉強しろて
付き合ったきっかけ
高校生の恋愛あるある(?)で、わたしたちは親しくしていることを隠さなければならないと感じていた。
授業終わりに近くのコンビニで集合して駅まで一緒に歩くことが定番になっていたある日のこと。
誰にも見られていないことを確信しながら、誰かに見られているのではないかとドキドキしながら、彼から告白され、正式なお付き合いが始まった。
初体験
わたしたちのデートはとてもシンプルなものだった。
放課後に繁華街で待ち合わせをしてカラオケで勉強し、サイゼリヤでミラノ風ドリアを食べ、一緒に塾へ行く。
わたしは高校生のうちはセックスはしないだろうと漠然と思っていたのだが、何を隠そう、彼はゴリゴリの男子校の生徒である。
ある日、彼はカラオケで「これ友達にもらったんだよね」と財布からゴムを取り出し、わたしに見せてきた。
その瞬間、わたしは絶叫マシンに乗る直前の「怖いけどハイテンション」「やらなくては」という心境になり、彼とカラオケで初体験をしたのである。
少し息が上がり、赤らんだ顔で塾へ向かう不届き者(?)の高校生たちの秘密は誰にも知られることはなかった。
海外パケット
彼のことが心から好きだったんだろうなと感じられるエピソードがある。
高2の時、修学旅行で海外に行くことになったわたしは、他校の彼と数日間連絡が取れなくなることが悲しくて、少ないお小遣いをはたいてスマホの海外パケット(?)みたいやつに課金したのである。
そんなに好きだったのかよwww
もったいねえな!!!
終焉
半年ほど付き合った頃、わたしは違和感を抱き始めていた。
彼は厳格な家の子らしく、塾以外の理由で外出することは難しいそうで、デートはカラオケ、ゲーセン、サイゼリヤ、スタバに行くというレパートリーしかなかった。
そんなの面白くない…!
お休みの日にユニバ行きたいのに!
好奇心旺盛で欲張りなわたしの不満はついに爆発してしまう。
自宅マンションの非常階段の踊り場で彼に電話をかけ、
「なんでいつもサイゼリヤなん…!?」
「わたしのこと好きじゃないからやろ…!?」
とメンヘラってしまい、ついには
「次付き合う人にはそんなことしないでよ?」
「わたしとの時間が無駄じゃなかったって証明するために、この失敗から学んで成長してね、バイバイ(号泣)」
と自らの手で恋を終わらせてしまったのである。
P.S. 振った理由かわいすぎて草。「この失敗から学んでよ」ってめっちゃかっこいいと当時は思ってました。
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