『君たちのための自由論』 著:内田樹、ウスビ・サコ


今、よくわからんけど息苦しいアナタへ

「最近ネットニュース見ると疲れる。」「日本オワコン説、結局私にどうしろと?」というそこのあなた。私も同じです。
もうスマホと距離置きません?そしてこの本読みませんか?


著者について

著者は内田樹さん、ウスビ・サコさんのお二人。
「え?何者???」と思った貴方のために、本より引用してご紹介しますと…。

かたや哲学者であり武道家、かたやアフリカ・マリ出身の元大学学長

君たちのための自由論-ゲリラ的な学びのすすめーより

クセ強い紹介!と思ったのは私だけではないハズ。ただ敷かれたレールに乗った人生だったらこんな風にはなりませんよね?この時点でお二人の価値観の豊かさが感じ取れます。
「こんな個性的な経歴の人、ぼんやり生きてたらなかなかお目にかかれへんやろ!」と俄然読む気になりませんか?

著書の分量

中央公論新社から発行されている新書はあとがきを含め219ページ。
大学の教授の本としては意外と薄いなっていう印象でした。
もともと対談の内容をそのまま本にされているので、平易な言葉遣いが多いこともあり読みやすい作品です。
私は読み終わるまでに6時間くらいかかりました。完全に個人の数値ですが、ご参考までに。 

印象に残ったフレーズ、内容

お二人の経歴が交わるところが大学教育なので、「大学教育で思うところ」をメインに「日本教育の問題点」や「日本社会がどうしてここまで閉塞感があるか」について書かれています。

非公式な教育は効果が高いんです。

2章  教育は「ゲリラ」だ より

こちらはかっちりと決まった形のカリキュラムより、イレギュラーなことが起こりやすい思いつきで始まった知の方が主体性を育むという内容を解説した部分です。
子供にしろ大人にしろ自由度が高くなると、自分が主体的に動かないと全体像が分からないし不安になるので頭で考えますもんね。
ほんと、おっしゃる通りで。
そう考えると教科書を読むだけの授業、本当に無意味という結論になってしまいますね。

ですから、日本の組織においては、上司が部下に対して最初にするのは「仕事を指示すること」ではなくて、「マウンティングすること」なんです。

おわりにー「管理」と「創造」

まぁ、なんてスパイシーな表現なんでしょう(笑)
こちらは「管理」が「創造」と相反する存在であり、管理者が創造の勘所を理解していないタイプだと管理される側はどんどん息苦しくなって生産性は落ちていくという内容に触れられていた部分です。
表現の鋭さにはびっくりする方もいるかもしれませんが、要するに上下関係が明確かどうかはよいものを作るパラメータとして寄与しないって話ですよね。うん、納得。

この本に向いていない方

こちらは私の独断ですが、方法や具体的な答えを求めている読書家にはこの本には向いていないと思います。
この本はこれからの時代を生き抜くための、日本人のステレオタイプな思い込みにストップをかけ自分の答えを作っていく人を応援するスタンスの本なので。

読書後の感想

私が読んで一番最初に感じたのは、ただただ反省でした。
日本の教育にどっぷり使って出来上がった、プロトタイプな人間と言われてもおかしくないワタシ。痛いところを突かれまくっているというのが正直なところ。

「好きなことをやればいい」「AIに負けない創造性を」とか言われると、
「え?つまり何をどうせいと??」と思ってしまう今日この頃。
自分が好きなことより社会が求めているらしいことをやって金を稼ぎ、日銭を稼ぐだけで終わる1日に見て見ぬふりをしている間に他の国はもっとクリエイティブで社会的意義の高いことをやっている…。
「嗚呼、その現実、正直見たくない…(笑)」

でも、私たち世代は逃げ切れないんですよね。この本の中では、どんな状況にでも対応する力は一番選択肢が多い場所に立って流れを読むことで見えてくると書いてありました。そして選択するための直感は鍛えられるとも。

時間がないけれど焦って何もしないのが一番良くないことは間違いないので、チャレンジしながら新時代に備えていきたいなと改めて感じさせてくれる本でした。

興味が湧いた方はぜひ!


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