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Darlin' I/VANESSA WILLIAMS

歌の歌詞を勘違いして覚えていたことはないだろうか?

わたしの学生時代には「オトコたるもの」「オンナたるもの」という概念が崩れ始めて来ていたように思える。男性だって泣くし、女性だって土方をやる。お茶くみが仕事としてどーなのよと思われ始めたころだったと思う。

その頃の彼氏は、物腰柔らかな年上の男性だった。しかし付き合って見るととんでもなく古風で、私が何かしようとすると「女なんだからこうしてほしい」「女なんだからああしてほしい」といろいろ「女なんだから」を枕詞に注文をつけてきて正直うんざりしていた。

別れ話の朝。
いろいろと言いあった末、彼が泣き出した。男の人に泣かれるなんて初めてだったから正直戸惑った。そして彼は「おまえは俺のことちっとも愛してくれないじゃないか」と泣きながら愚痴った。わたしはそれを見ながらぼんやりと「男の人も泣くんだ」と思ったのを覚えている。

ヴァネッサ・ウィリアムスの「Darlin' I」の歌詞に「I never meant to make you cry」という歌詞があったなと思い、その時のことを思い出してふと聴いてみた。主人公は彼氏が泣くのを見るのは辛かっただろうなと思った。

しかし、曲を聴いてみて間違いに気づいた。泣いていたのは「私」のほうだった。それを知った時、ふと頬に一筋の涙が流れた。

『The Right Stuff』(1988)収録。このアルバムからの四枚目のシングルになる。「Dreamin'」のほうが売れたらしいが、わたしはこの曲の方が好きだ。


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