見出し画像

Maybe Someday.../SIMPLY RED

自分の孤独を初めてわかってくれる曲に出会った。

シンプリー・レッドを聴くようになったのは高校生のときだ。アルバム『A New Flame』が出て、洋楽番組で彼らのMVを観るのが好きだった。その前のアルバム『Men and Women』の時のシングル「The Right Thing」は正直黒すぎて好きじゃなかったが、『A New Flame』はそこはかとなくおしゃれで、聴いてて耳心地が良かった。

ある日、洋楽リクエスト番組を観ていたらシンプリー・レッドの曲が流れてきた。それは『A New Flame』の中の曲ではなかった。せつないミック・ハックネルのボーカルに悲し気なサウンド。今までに聴いたことのないシンプリー・レッドのサウンドだった。その曲のタイトルは「Maybe Someday…」といった。

この曲、欲しい! そう思ったわたしは、どのアルバムに入ってるか調べた。すると、私があまり好きじゃなかった「The Right Thing」が入ってる『Men and Women』に入っているという。CDの値段は3200円。好きじゃない曲が入っているアルバムを買うには高かった。でも、どうしてもこの曲が欲しかったので、母にお小遣いを前借りして買うことにした。

「たぶん。。。いつか、誰かがやってくる」

そのフレーズを聴くたびに、孤独で人恋しかった高校生のわたしはその曲が自分にやさしく語りかけてきてくれているように思えたのだった。ミック・ハックネルも孤独を感じたことがあるのかなあとひとり思いをはせた。この曲を聴いて、シンプリー・レッドがただのおしゃれなバンドというだけの存在ではなくなった。何度かアルバムを聴くうち、「The Right Thing」にもいつしか慣れた。

あなたは、わたしがこんな曲をまた聴かないでも済む人になってくれるだろうか?

『Men and Women』(1987)収録。シングルカットされたが、アルバムの中では一番ヒットしなかったそうだ。残念。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?