物語

閉ざされたオフィスの中
私は机に向かっている
キーボードを叩く音だけが
静かな空気を支配する

私の目の前には
スプレッドシートとグラフ
そして行き交う数字の群れが
独自のダンスを踊っている

時折、同僚たちの声が聞こえる
遠くから響く機械音と共に
彼らは私と同じように
日々を過ごしているのだろうか

私は窓の外を見る
そこには灰色のビル群が広がり
遠くには青空が見えるが
それもどこか遠く過ぎてしまったようだ

私の心には
何かが欠けているように感じる
それでも私はキーボードを叩き続ける
ただ、村上春樹がこう言うように

「僕たちはそれぞれ
違う仕事をしているけれど
どんな仕事でも
そこには物語があるんだよ」




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