奇病庭園/川野芽生
その世界において魔法が存在することはあまりに当たり前で、ことさらに説明も言及もされない作品が好きだ。この小説はそんな願いを充分に叶えてくれている。淡々とした筆致で精密に記された世界はファンタジーとか関係なく一読の価値があると思う。多分この記事で紹介してる中ではかなり入手しやすいし。
メメント・モーリ/おのりえん
「のびやかな元気をくれる」かどうかはよく分からない。私は切なさと懐かしさを感じたので。派手な戦いなんかを求める人には向かないと思うけど、生と死についてしんしんと感じることが出来る。あと紀伊國屋の紹介では小学生向けになってるけど、大人でも充分面白いと思う。
図書館の魔女/高田大介
題名に堂々と「魔女」と書いてあるが、本書の中に魔法は一切存在しない。コンスタンティノープルを思わせる舞台で、「魔女」が魔法ではなく智略で大活躍する。
私か魔法のないファンタジー好きになったきっかけの本。
ラピスラズリ/山尾悠子
「冬眠者」の存在などいくつか魔法っぽいといえば魔法っぽい要素もある。しかし魔法というよりは幻想であり、物語全体が幻想のうちにある。
あとこのnoteのテーマとは関係ないが、緻密で繊細な文章がとても美しい。
バウドリーノ/ウンベルト・エーコ
あらすじにもあるように、現代から見れば空想としか思えない要素も含まれるが、登場人物たちにとっては事実なのだろうと思わせられる。魔法によって事態が進展するようなことも特にない。
幻想建築術/篠田真由美
紹介文では「ミステリー」となっているが、個人的にはミステリー要素は薄いと感じた(作者の他作品を未読だからかもしれない)。
聖書の逸話を下敷きにしたような世界観であり、大元の世界自体は魔術的ではある。