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魔法の出てこないファンタジー小説リスト

  • ファンタジックな世界を舞台にしながら魔法要素が(ほぼ)ない話が好きなのでまとめました

  • 「ファンタジックな世界」、「魔法」かどうかは完全に主観です

  • シリーズものは最初の巻のみ

  • 24/06/18更新。今後も随時追加予定

  • 新規追加した本を上においています



奇病庭園/川野芽生

それは、鉤爪や翼や魂が再びそなわった者たちの物語

奇病が流行った。ある者は角を失くし、ある者は翼を失くし、ある者は鉤爪を失くし、ある者は尾を失くし、ある者は鱗を失くし、ある者は毛皮を失くし、ある者は魂を失くした。
何千年の何千倍の時が経ち、突如として、失ったものを再び備える者たちが現れた。物語はそこから始まる——
(後略)

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163917344

その世界において魔法が存在することはあまりに当たり前で、ことさらに説明も言及もされない作品が好きだ。この小説はそんな願いを充分に叶えてくれている。淡々とした筆致で精密に記された世界はファンタジーとか関係なく一読の価値があると思う。多分この記事で紹介してる中ではかなり入手しやすいし。

メメント・モーリ/おのりえん

だれもが同じ一日をくりかえしている。前に進むため―メメント・モリ。十年儀式をこばみ続ける鬼の王子モーリと骸骨になる前に家を出たいと願った少女が出会ったとき、止まっていた時の秘密が解きあかされていく…。のびやかな元気をくれるタイムファンタジー。

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784652071960

「のびやかな元気をくれる」かどうかはよく分からない。私は切なさと懐かしさを感じたので。派手な戦いなんかを求める人には向かないと思うけど、生と死についてしんしんと感じることが出来る。あと紀伊國屋の紹介では小学生向けになってるけど、大人でも充分面白いと思う。

図書館の魔女/高田大介

鍛治の里に暮らす少年キリヒトは、師の命により、大陸最古の図書館を統べるマツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声をもたないうら若き少女だった。本を愛し、言葉の力を信じるすべての人に!

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000187956

題名に堂々と「魔女」と書いてあるが、本書の中に魔法は一切存在しない。コンスタンティノープルを思わせる舞台で、「魔女」が魔法ではなく智略で大活躍する。
私か魔法のないファンタジー好きになったきっかけの本。

ラピスラズリ/山尾悠子

冬のあいだ眠り続ける宿命を持つ“冬眠者”たち。ある冬の日、一人眠りから覚めてしまった少女が出会ったのは、「定め」を忘れたゴーストで―『閑日』/秋、冬眠者の冬の館の棟開きの日。人形を届けにきた荷運びと使用人、冬眠者、ゴーストが絡み合い、引き起こされた騒動の顛末―『竃の秋』/イメージが紡ぐ、冬眠者と人形と、春の目覚めの物語。不世出の幻想小説家が、20年の沈黙を破り発表した連作長篇小説。

https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480429018/

「冬眠者」の存在などいくつか魔法っぽいといえば魔法っぽい要素もある。しかし魔法というよりは幻想であり、物語全体が幻想のうちにある。
あとこのnoteのテーマとは関係ないが、緻密で繊細な文章がとても美しい。

バウドリーノ/ウンベルト・エーコ

『薔薇の名前』で世界の読者を魅了したエーコが,ふたたび中世を舞台に放つ物語.時は十字軍の時代.神聖ローマ皇帝フリードリヒの養子となった農民の子バウドリーノが語りだす数奇な生涯とは…….エーコが遊びごころたっぷりに,史実とフィクションを織りまぜながらつむぎ出す破天荒なピカレスク・ロマン.話題のベストセラーがついに登場!

https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b264480.html

あらすじにもあるように、現代から見れば空想としか思えない要素も含まれるが、登場人物たちにとっては事実なのだろうと思わせられる。魔法によって事態が進展するようなことも特にない。

幻想建築術/篠田真由美

神の作り出した都市に秘められた謎に迫ろうとする者たち。「建築探偵」で人気の著者が宗教と人間の相克を描く連作幻想ミステリー。

https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-67727-9

紹介文では「ミステリー」となっているが、個人的にはミステリー要素は薄いと感じた(作者の他作品を未読だからかもしれない)。
聖書の逸話を下敷きにしたような世界観であり、大元の世界自体は魔術的ではある。

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