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大学の授業をした話。

今から7年前、ある女子大学の知り合いの先生や恩師から「生徒指導論」(非常勤)を引き受けてほしいという話がありました。非常勤なので、今の仕事と並行して、集中などを使ってやっていいからということでした。文科の申請でいるとのことで実際はその3年後ということでした。

幸いにして学級経営の本や雑誌投稿、月刊生徒指導への連載など、その業績を認めて頂けました。当時は大学院に通っている頃で、まさに「一小学校教師」として大変光栄でした。勤務校のご配慮も得られて微力ながら教師を目指す方へのお手伝いの準備を始めました。

その上で、引き受けたからには、
(1)自分の言葉で、生徒指導を語ろう
(2)生徒指導のイメージを変えよう
(3)ゲストの先生に多く来てもらい、現場の「生」の声を届けよう
と考えました。

(1)自分の言葉で、生徒指導を語ろう
と考えた時、まず自分に似合うテキストを探しました。
しかし、なかなか良いものが見つかりません。
そこで、女性のための女性でもできる生徒指導といった新しいテキストを作ろうと考えました。
当然、引き受けてくれる出版社は簡単には見つからず、難航。
そんな時、一緒にばん走してくれることになったのが、トール出版でした。

トール出版のサポートと片山紀子先生、伊田勝憲先生、そして多くの実践者の方に関わってもらい、自分だけのテキストが生まれました。特に井上明美先生、鎌塚優子先生、堀田千絵先生、金澤ますみ先生と多くの女性の先生に執筆して頂きました。女性と男性の執筆者が同数に近い形を目指すことは大変良いことでした。

その後、講座の開講年には、コロナが発生。
テキストを作っておいたおかげで丁寧な学習指示を出すことができました。
これは不幸中の幸いでした。二年間、オンラインでしたが、私自身、改めて生徒指導について学ぶことができました。

(2)生徒指導のイメージを変えよう
(3)ゲストの先生に多く来てもらい、現場の「生」の声を届けよう

対面は昨年度からスタート。
今年は、3時間、5日間の集中講義を土曜日にしました。
教務課の方に確認をして、ボランティアなら良いでしょう、とのことで、専門性のある方1回のみ大学にサポートをお願いし、基本ゲストスピーカーの先生にはボランティアで参加して頂きました。

学生には「生徒指導」に関わるたくさんのPVを見て頂きました。

4月 冨士松徹先生をゲストに
1:人格形成と生徒指導
2:学校教育課程と生徒指導
3:学校における生徒指導の方法と体制
※生徒指導の「イメージ」を考える
※RADWIMPSの「正解」から生徒指導の意味を考える
※青空ディスカッションー外で数人で話し合う
※質問カードにゲストとホストで答える

4月谷口陽一先生 松井恵子先生をゲストに
4:教育相談の教育的意義(学校教育における役割と機能)
5:教育相談の実際(聴くことの意味、アセスメント、見立て、目標)
6:教育相談の実際(ロールプレイの進め方と実践)
※実際のシチュエーションでロールプレーイング
※質問カードにゲストとホストで答える

5月11日 松井恵子先生 佐野陽平先生をゲストに
7:いじめ(ネットいじめを含む)・不登校と生徒指導
8:LGBTQと生徒指導
9:他者理解(価値観の多様性、個性の尊重、子どもの出すサイン)
※LGBTQの学校現場の取り組み、当事者の方への取材
※青空ディスカッション
※質問カードにゲストとホストで答える

5月18日齋藤暁生先生をゲストに
10:発達段階に応じた生徒指導
11:生徒指導上の課題と関係法令
12:非行と生徒指導
※じゃんけん列車、バースディリング、演劇手法(ロープレ)で発表
※質問カードにゲストとホストで答える

5月25日 大泉志保先生 大間知潤先生をゲストに
13:貧困問題・児童虐待と生徒指導
14:保護者・地域・教職員、関係諸機関の連携
15:事例から学ぶ生徒・保護者への対応
※質問カードにゲストとホストで答える
※ワールドカフェで今までの学習のリフレクション

6月1日 伊垣尚人先生をゲストに
補講として、PAを中心とした教育実習など現場につながる活動

https://youtu.be/1mz-A--mANU?si=v5BN-w82kQbnkvBi

といったことをしました。
聞くだけというより
・ディスカッション
・ロールプレーイング
・ワールドカフェなどのファシリテーション
・PAやアクティビティ
・イラストなどペインティング
・トークライブ(テレビショーのように質問に答える
といった活動をして、「生徒指導」のイメージをできるだけ多様にしようと心がけました。

生徒指導のイメージって、実際はこんな感じ。
こうした負のイメージを増やしていこうという感じで進めていきました。
イメージを変えるっていうより増やすってイメージです。

https://cir.nii.ac.jp/crid/1050855278599720576

こうした授業は、私が今まで学んできた学び方、全てが詰まっています。
ゲストを呼ぶ授業の実践はどこかで読んだものでした。
また、「生徒指導」のイメージを考えて、そこからメタファーとして何かに例えて学習をするのは、西之園晴夫先生の教育方法学。ディスカッションや映像を交えた授業は黒田恭史先生、質問カードのやりとりは、達富洋二先生の集中講義。大橋功先生の話し方など。。。結局私の講義は、私がinspireされた大学の授業から学んだものばかりです。


凡庸な教師は ただしゃべる。
よい教師は 説明する。
優秀な教師は 自らやって見せる。
そして、
最高の教師は 心に火をつける

The mediocre teacher tells.
The good teacher explains.
The superior teacher demonstrates.
The great teacher inspires.

 アメリカの教育者・宗教家であるウィリアム・ウォード(William Ward)が残したと言われる有名な言葉です。

大学の授業は、大学の先生から見れば、たくさんの中の一つに過ぎません。
しかし、先生のその一言、その一言で、学生の心に「火」がつくかもしれません。
私の授業がそうなったらいいですが、それは学生の判断に委ねます。

でも、
「この授業を受けて本当によかった」
「採用試験に挑戦しようという気持ちになった」
「忘れられない授業になった」
などとお世辞もあると思うけど、多くの学生に書いてもらえて嬉しかった。
涙が出そうでした。やった甲斐があったかな。

心を込めて授業ができてよかったです。

ぜひ、大学の先生は、研究も大切だと思いますが、
学生の心にぜひ、火をつけてほしいと思います。

それが、
教師をめざす若者たち
を増やすきっかけになっていくと思います。


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