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ボードゲームカフェの店長をしてた時の話

まじもりさん主催の「Board Game Cafe Advent Calendar 2024」の12月22日の記事を担当しますマスシンです。

昨日の記事はワクさん。ワクさんのラジオは毎回リアルタイムで聴いています。ワクさんの子供がたまに欲望を全てワクさんにぶつけるの可愛すぎる…。「ピーポー!ジュース!アイス!ギューニュー!」って。この順番に意味はあるのだろうか。好きな物順で言っているとしたら大好物より救急車の階級が高いのが子供らしくて素敵である。

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心地良い音楽とこの世のアングラの全てを煮詰めた様な空間。煙草とシーシャの甘い匂いが混ざり合った煙が店内に充満していた。棚には沢山のゲームと統一感のない書籍。

店内の一部

Googleマップに載っていない細く暗い路地を進むとガールズバーともぼったくりバーとも判別の付かない洒落た看板が出て来る。今は2014年。ここはCafeBARかくれが。

今考えると皆んなよく見つけたな
新規の1人客は全員リスペクト

本名は知らないが顔馴染みの女性オーナーから「店長やらない?」と言われ「僕で良ければ」と二つ返事で請け負った。

この時代。ボードゲームが少しだけ盛り上がっていた。しかしキャッシュフローゲームやカタンを使ってマルチビジネスに引き込む様な怪しい奴らもうちの店には怪し過ぎて近づかなかった。

※合法

僕が入った時には日替わり店長の様なシステムで個性的なメンバーが揃っていた。お笑い芸人、DJ、電子タバコを改造して馬鹿みたいな量の煙を出す事に命をかけている馬鹿、とんかつ専門のライター、芥川賞を受賞した女性作家など。口を開けば面白い人達の偏った話を聞きながら僕の個性は更に歪んでいった。昔キャバクラで働いていたので酒を覚えるのは早かった。入り口のガラス扉に勝手にコンコルディアの様なイラストを描いたりして自由にやっていた。

何故下書きの写真しかないのだ…

ボードゲームカフェ評論家みたいなカスがいたらうちの店の評価は星を付けたくないくらい最低だったと思う。実際に自称有名ボードゲーマーみたいなカス共から「店内が煙たい」「店が暗い」「治安が悪い」等の苦情は多々あったし事実であった。しかしそんな奴らは2度と来なくて良いと思うくらい僕を含めてこの最低な空間を愛してる人間で連日満席だった(今はすっかり友人のきりんなべも当時から「タバコ吸えるし最高」と言ってくれていた)。

一応顔は隠しておこう。皆んな若いな。
サイタニヤさんのいろはことば。懐かしいね。

こんな店に「ボドパスという私達の作る本に載せても良いですか?」とわざわざ足を運んでご挨拶に来てくれたボドっていいとも!の翔さんは今でも密かに尊敬している。

あとリゴレをオープンする前に色々なボードゲームカフェに足を運び勉強していますと言ってうちの店にも来てくれていたノブイさんも何を学んだのか素晴らしい店を作った。

僕がボードゲームカフェの店長をしていた時には今のボードゲームカフェの客層の様なお利口さんのご来店は少なくバー利用の飲み客、大学生の客やボードゲームに興味がないけどモチベーションの高い友人にただ連れて来られただけの客も多かった。

そういった所謂ボードゲームモチベーションが低い客にも提供できるゲームを僕は「偉いゲーム」と名付けて大切にしていた。

「偉いゲーム」の基準は2つある。まず最初にルール説明(この記事読む様な人にはインストって言っても良いかな。どうも。マスシンインスト研究所です。)が3分以内に終わる事。そして2つ目は手番でやる事が2アクション以内という事である。

だからラブレターなんかは「偉いゲーム」である。

AEGのこのラブレター良いよね。

①カードを引く
②どちらかのカードを出す

ここにゲームを楽しむ感情がなくても良いにも関わらず手番は周ってくるからゲームには参加せざるを得ないしアクションさえすればゲームは成立する。

逆に「皆んなで〜してみましょう!」みたいな協力ゲームは参加しない事も出来し指示する奴がいたらソロプレイと変わらないから偉くないのである。

「楽しむ気がない奴らにゲームやらせる必要があるの?」と聞かれたら「ないよ」と答えるが途中でゲームの面白さに気が付く場合もあるし違いなりにもボードゲームに興味がない人を店にわざわざ連れてきてくれる良客に「店長も対応が良いしボードゲーム知らない人を連れて来ても何とかなる店だ!」と思って貰えたら売上も立つ。

ボードゲームをやった事がない人に何のゲームを勧めるか各ボードゲームカフェの店長の意見も聞いてみたいものだ。ボードゲーマーはボードゲームをした事がない人に対して基本的に舐めてるので慎重なのでゲームチョイスはセンスの差が出そうである。

ここまで読み進めると「ライトなパーティー寄りのボードゲームカフェなのね」と思われるかも知れないが当時からレアゲーと呼ばれていたゲームやゲーマーズゲームを置いていたので「このレアゲームを遊べるって聞いて来ました」なんて客もいた(バックヤードにレアゲーを隠す場所もあった)。また個人的に海外からゲームを個人輸入したり(当時はエミーラが9€)していたのでマニアも沢山来ていて最高な店だった。

SNSをやっていなかった僕もお店の宣伝の為にTwitter(現X)を始める。名前はナンセンス石原。本当にナンセンスである。後にわかりにく過ぎるので本名に近いマスシンとなる。これが今のメインアカウントである。

そんな中、このお店は1つの転機を迎える。お笑い芸人のY君が芸人を辞めて働いていた飲食店も辞める関係でここ一本で生活したいという相談があった。彼はとても情熱があり、周りからも好かれていたので我々がそれを承諾した。我々は使い終わったドラゴンボールの様に散り散りになったのである。

今でもY君とは仲が良い。解散当時はお店が休みの日に店長として店に立ったり僕自身が客として行ったり売上目標達成の際には食事をご馳走したりしていた。

しかし僕が結婚をして横浜から離れるタイミングでお店に関する全てから身を引いたのである。

そんなこんなで今年の夏の様にというかナイフで切った様に私のボードゲームカフェ店長ライフは終わりを告げた。その後近くの路面店で大型のテナントが空いたので移転する事に。新店舗は看板が新しくなる関係で古い看板は私の趣味部屋に持ってきた。

自宅趣味部屋の一角に収まった看板

店長時代には本当に色々あった。客や他の店と喧嘩になったりゲームマーケットに行く前に警察に捕まったり、マジ森さんの顔を潰す訳にはいかないので控えるがここには書けない事も沢山あったし沢山やった。ボードゲームを通して色々な思い出を共有出来る仲間に出会えた事は社会人の僕が再びの青春を取り戻した夢の様な時間であった。

今でも新作のボードゲームが出ると当時の仲間の顔が浮かび「また集まれたらな…」と期待してしまう。そんな期待をしながら今日も忙しくてプレイも出来ないのに新作のボードゲームの情報だけはチェックをするのであった。


最後まで読んで頂きありがとうございました。訓読みの「訓」が音読みの時点で全ての勉強から卒業したので読みにくい所もあったかと思いますが、また書く機会がありましたら読んで頂けますと幸いです。

明日は公さん。タイミング合えばまた飲もう。誘ってくれても良いんだよ?

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