嫁の仕事

「嫁、仕事だ」
旦那が真面目な顔で言った。
「こいつをつぶせ」

…ふっ、とうとうこの時が来たか。
私もそろそろ、頃合いだと思っていた。
「了解…!」

正直、こいつに罪は無い。
しかし、私たちにも正義というものがある。
「…悪いね。旦那からの御達しだ。覚悟してもらおう」

そう言って、私はそいつを踏みつけた。
そいつは派手な音を立てて、ぺっしゃんこになった。
「…任務完了」

「…嫁ちゃん、何してるの?」
「ペットボトルつぶしたの」

いや、空になったペットボトル、溜まってたし。
そろそろやらなきゃなーって思ってたし。
どうせやるなら、楽しくやりたい。
悪の組織の上司部下夫婦ごっこ、楽しかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?