証拠写真

ある朝、旦那がカメラを持ち出してきた。
「証拠写真撮った」
「何の?」
「ほらほら」
そう言って、撮った写真を見せてくる。
私の寝顔だ。
「まちがえた。これじゃなくて…」
「いや、今の何?」
「嫁ちゃんの寝顔」
それは見りゃ分かる。訊いているのはそういう事ではない。
「あった、これだ」
見せてきたのは、私の寝姿である。
「玲歌がウルル蹴飛ばしてる、証拠写真」
「えー?」
私はウルルを蹴飛ばしたりしない。
確かに寝相は悪いけれども。

「ウルルを布団から蹴り出しているのは、玲歌です」
「そんな事ないもん!」
私はウルルをぎゅっと抱きしめた。
ウルルはいつものつぶらな瞳で、私を見上げるのみであった。

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