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NO.029 考古読書録 2024年2月に読んだものから

先日、急な発熱でダウン。
さすがに論文読む気力もないので、パラパラ図録でも見ようかと思いましたが、それもできませんでした。
そこはあきらめて静養ということに。

今日は薬も効いたのか平熱に戻り、普通の生活ができる喜びを噛みしめているところです。

前回から始めた月ごとの読書録ですが、今回は2024年2月に読んだものをご紹介。
【貝】
畑山智史2023「西庄遺跡における貝採取季節の推定」『海浜集落からみた王権と地域』紀伊考古学研究会第26回大会発表要旨集
 ←古墳時代の分析は少ない
橋口達也1073「小児骨に伴ったゴホウラ製貝輪」『九州考古学』47
 ←世襲制の萌芽を読み取る

【絵画】
深澤芳樹1987「弥生人の美意識」『弥生文化の研究』8祭と墓と装い

【瓦】
昼間孝志2018「須恵器工人の瓦づくり」『研究紀要』32 埼玉県
 ←関東でも須恵器工人のかかわり

【官衙】
田中広明1992「郡家造営事始め」『研究紀要』9 埼玉県埋蔵文化財調査事業団 ←先行集落にみられる3つの類型を提示
長 洋一2009「大宰府鴻臚館前史への試論」『日本古代の思想と筑紫』

【漁撈具】
高橋 健2023「骨角製漁具の伝播と受容」『考古学研究』70-2

【研究史】
徳田誠志2011「米国ボストン美術館所蔵所謂「伝仁徳天皇陵出土品の調査」『書陵部紀要』62
 ←時期が合わないとの見解
藤尾慎一郎2002「弥生文化と日鮮同祖論」『人類にとって戦いとは』5
斎藤 忠1988「考古学と私」『考古学叢考』上
 ←そのあゆみが考古学史
玉利 勲1988「有銘銅鐸事件の顛末」『考古学叢考』上
 ←研究史の一エピソードになりそう
山本寿々雄1988「学問を支えた人々の人間愛をみる」『考古学叢考』上
 ←中谷治宇二郎は湯布院で没したことを知る

【古代史】
今津勝紀2023「キビ・イズモ・ヤマト」『古代出雲と吉備の交流』島根県古代文化財センター研究論集第30集
 ←狭義のイズモはヤマトに制圧
出田和久2006「万葉歌に詠まれた山」『万葉古代学研究所年報』4
田中正日子1992「大宰府の内外問題と兵制の動向」『北部九州の古代史』
門脇禎二2005「吉備その風土の起点」『古代を考える 吉備』
栄原永遠男2011「木簡に歌を書くこと」『倭人と文字の出会い』近つ飛鳥博物館  ←7世紀後半には万葉仮名による日本語表記あり

【古代土器】
石井清司2017「緑釉陶器生産の再検討」『洛北史学』19

【古墳】
上林史郎1988「葛城山西麓の終末期古墳」『網干善教先生華甲記念考古学論集』 ←河内地域の横口式石槨を集成
大久保徹也2023「大形石室墳にみる地域的結集とその性格」『古代出雲と吉備の交流』島根県古代文化財センター研究論集第30集
 ←こうもり塚古墳の時期の見直し
尾上元規2023「吉備における6、7世紀の画期」『古代出雲と吉備の交流』島根県古代文化財センター研究論集第30集
陵墓調査室2009「来目皇子埴生崗上墓の墳丘外形調査報告」『書陵部紀要』60
辰巳俊輔2023「陵墓制札の変遷とその意義」『考古学研究』70-3
岸本直文2004「前方後円墳の墳丘規模」『人文研究大阪市立大学大学院文学研究紀要』55 ←築造企画論の現状を示す
甘粕 健1985「前方後円墳の技術史」『日本土木史研究発表論文集』5
上田宏範1988「前方後円墳形態認識の変遷(一)」『考古学叢考』上
 ←前方後円墳の研究史
新納 泉2023「『日本書記』神功紀の再検討」『考古学研究』70-2

【祭祀】
光本 順2023「分銅形土製品の地域的展開と出雲・吉備」『古代出雲と吉備の交流』島根県古代文化財センター研究論集第30集
 ←初源的形態の土製品の存在を知る

【塩】
荒木幸治2022「西播磨における製塩土器の様相」『製塩土器からみた播磨』

【集落】
原雅信・桜岡正信2023「甲を着た古墳人」と「金井型居館」『研究紀要』41 群馬県
若杉竜太2022「筑後川上流域~日田・玖珠地方~における古墳時代後期の古墳と集落」『集落と古墳の動態』Ⅲ
 ←小さな円墳でも首長墳になりうる
土井翔平・塩見恭平2022「佐賀平野における古墳時代後期の集落と古墳の動向」『集落と古墳の動態Ⅲ』
岡部裕俊2010「長野川下流の弥生~古墳時代の遺跡と遺物」『糸島市立伊都国歴史博物館紀要』5 ←東遺跡遺物を紹介
井上尚明1989「古代集落遺跡の再検討」『研究紀要』5

【縄文】
佐々木藤雄2010「縄文時代の段階区分」『縄文時代の考古学』1 縄文文化の輪郭 ←段階区分は難しい
水ノ江和同2012「九州の縄文集落」『九州縄文文化の研究』雄山閣

【植物】
栗島義明・大屋道則2023「「トチのコザワシ」再考」『利根川』45
 ←灰を用いずアクヌキOK

【須恵器】
安達悠紀2022「6・7世紀の須恵器編年考」『九州考古学』97
 ←須恵器に出てくる特徴に時期差あり

【青銅器】
岡村秀典2022「画文帯神獣鏡の東伝」『東方学報』97
難波洋三2006「朝日遺跡出土の銅鐸鋳型と菱環鈕式銅鐸」『朝日遺跡』名古屋市文化財調査報告69
 ←朝日遺跡は出吹か石材の移動

【石器】
仲原知之2000「和泉地域の石庖丁生産と流通」『洛北史学』2
 ←池上曽根は石器の全体量が多い

【装身具】
土屋隆史2023「獅噛文帯金具の文様系列と製作技術」『先史・古代の日韓交流の様相』
 ←製作技術と変遷案を提示
田中広明1993「腰帯の一考察」『研究紀要』10 埼玉県
 ←直接官位や職制に結びつかないのが日本の特徴

【玉】
田村朋美2023「Sr同位体比分析による日本列島出土ガラスの産地に関する考察」『文化財論叢』Ⅴ

【男女】
田中禎昭2022「古代戸籍のなかの母子」『国立歴史民俗博物館研究報告』235

【中世】
山内晋次2023「硫黄流通史研究から見た博多港湾石積遺構の歴史的価値」『博多津』福岡市埋蔵文化財調査報告書第1468集
 ←硫黄島と大分火山地帯の硫黄を輸出
仁木 宏2005「港津と守護所をめぐる一考察」『中世の城館と集散地』高志書院

【朝鮮】
車 順喆2023「三国から高麗時代青銅工房小考」『古代文化研究』31
 ←朝鮮半島の状況がよくわかる
西谷 正2003「朝鮮半島における初期王権研究の視点」『古代王権の誕生』1
西谷 正2003「考古学からみた朝鮮四国の王権の成立」『古代王権の成立』Ⅰ ←分かりやすく概観

【鉄器】
会下和宏2023「弥生時代の鉄器流通からみた山陰と吉備」『古代出雲と吉備の交流』島根県古代文化財センター研究論集第30集
 ←大きな画期は地域をこえて共通する箇所あり
大谷晃二2018「古天神古墳出土大刀の時期と系譜」『古天神古墳の研究』
 ←ハート形象嵌の変遷表
西谷 正1984「中国・東北地方における初期鉄器資料」『尹武炳博士回甲紀念論叢』
吉松優希2023「松江市御崎山古墳出土獅噛環頭大刀について」『古代文化研究』31
 ←意宇平野で半島系環頭大刀+倭系大刀

【動物】
佐藤孝雄2023「オホーツク文化集団の動物資源利用」『何が歴史を動かしたのか』 ←犬と豚の毛皮の利用

【馬具】
山川守男1992「古墳時代馬小考」『研究紀要』9埼玉県埋蔵文化財調査事業団
向井佑介2023「中国における騎馬の導入と展開」『馬・車馬・騎馬の考古学』 ←通史的で学びが多い
李 炫姃2023「韓半島の初期馬生産と牧場」『馬・車馬・騎馬の考古学』
 ←のちの時代の史料をベースに復元

【墳墓】
渡辺貞幸2023「出雲西谷3号墓再考」『何が歴史を動かしたのか』
 ←4本の柱はしばらくして設置
橋口達也2000「弥生時代の年代論」『奴国王の出現と北部九州のクニグニ』
橋口達也1982「甘木朝倉地方甕棺についての若干の所見」『栗山遺跡』甘木市文化財調査報告書第12集
清家章・濱田竜彦2023「海辺の埋葬遺跡における特異な埋葬属性と交流」『国立歴史民俗博物館研究報告』242
 ←青谷上寺地SD38-2出土人骨を二次埋葬と解釈

【紡織】
村越 潔1985「縄文時代の織布について若干の考察」『日本史の黎明』
松永篤知2019「中国先史時代の編物について」『中国考古学』19
 ←スケールの大きな編年表を提示

【山城】
葛原克人2005「鬼ノ城と東アジア」『古代を考える 吉備』
 ←朝鮮式山城より前に位置付け

【弥生土器】
秋山浩三2007「熊山田遺跡の奇妙な土器」『弥生大形農耕集落の研究』
 ←無文土器的土器の存在
真木大空2023「西谷以前の出雲と吉備」『古代出雲と吉備の交流』島根県古代文化財センター研究論集第30集

【倭系】
高田貫太2019「なぜ研究するのか」『「異形」の古墳』角川選書626
高田貫太2019「前方後円墳が出現するまで」『「異形」の古墳』角川選書626
高田貫太2019「前方後円墳を歩く」『「異形」の古墳』角川選書626
 ←立地や周辺集落と絡めて検討
高田貫太2019「栄山江流域社会と前方後円墳」『「異形」の古墳』角川選書626 ←在地首長による多義性を持つ古墳
高田貫太2019「栄山江流域社会と前方後円墳」『「異形」の古墳』角川選書626
高田貫太2019「いま、前方後円墳からみえること」『「異形」の古墳』角川選書626
趙 晟元2023「韓半島南部出土土師器系土器から見た日韓交流」『先史・古代の日韓交流の様相』

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