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現象学女子〈24〉告白されて返事に困ったので島津川さんに相談してみた 2

 私は木下君に告白され、でも好きでも嫌いでもないので、返事を保留して今に至るということを手短に説明した。そしたら松井さんが

 「ああ、木下…正直可もなく不可もなくよね」と言った。当たってると思った。そしたら島津川さんが

 「福田さんは告白されてうれしかったの?」と聞いてきた。正直それすら分からなかった。

 「…わからない…」と言ったら

 「わからないで十分よ。重要なのは自分の中ではっきりしてる部分をちゃんと把握することよ。だからわからないということがはっきりしてるってことがわかるのが重要なのよ。だったらあなたの『保留』という選択はべストよ。だってわからないんだもの」と島津川さん。

 そしたら松井さんが

 「だって全然話したことないんでしょ?だったらまあ、あれよ。福田さんかわいくてでもおとなしいから、なんか押したら行けそうだと思ったんじゃない?恋愛経験をしてみたい男子とってはちょうどよさそうだもんね」とおそらく褒めているんだけどある意味ではけっこうストレートに言われた。そうなのかな…

 「確かにそうかもしれないわ。でもそうじゃないかもしれない。もしかしたらものすごく真剣に福田さんのことが好きなのかもしれない。だからこっちからは何も言えないわ。こちらから見えないものに対してむやみに決めつけちゃだめよ。時間と空間よ」と島津川さん。

 「え?時間?」

 「いや今のはこっちの話」

 「でも返事をしないと…どちらかの選択をしなくちゃ…」と私が言うと。

 「いや、返事はするけど、それは正直にわからないって返事でいいのよ。まず自分の気持ちを一番尊重して。そうしないと誰も幸せにならないわ。変に向こうに気を遣って本音じゃない選択をする方が悪い結果になるのよ。だから今の曖昧な気落ちを正確に返答するのが木下君に対する最大限の礼儀よ。繰り返すけど最優先は自分の幸せよ次に他人。自分の幸せを最大限に追及してその後に最大限他人を尊重するのが礼儀ってもんよ。つまり自分が選択できなきゃ向こうに選ばせればいいのよ」と島津川さんはどんどん早口なって言葉に何か力が入ってくる…ちょっと怖い…でも頼もしい…

 「向こうに選ばせる?」

 「だからこう返事して」と島津川さんに言われた。

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