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現象学女子〈26〉告白されて返事に困ったので島津川さんに相談してみた 4

 私は3人にそれぞれお礼を言った。北条さんは一言もしゃべらず話を聞いているだけだったが、お礼を言うと

 「福田さんには悪いかもしれないけど凄い楽しかった」と言われ、じゃあいいのかなと思った。

 後日私は言われた条件を紙に書いてそれを折り曲げ封筒兼便箋のような手紙にして木下君を呼び出し直接手渡した。するとまた後日に普通に封筒に入った手紙を手渡されこんなことが書いてあった。

 

 まず全然予想しない条件にびっくりしたことと、私に対する思いは確かに好きだがしかしいつまでも返事を待てるかと言われるとそこまでかどうかわからないということが率直に書かれていた。しかしそれで自分の中の気持ちにいろいろ気づかされて感謝していると、もっと真剣さが必要だったのかもしれないのでこちらも自分を見つめ直すためにいったん保留するので、今回のことはなかったことにして忘れてほしいと書いてあった。けっこう誠実な人なんだなということはわかってそこに関しては非常に好感を持ったが、しかし私もそれで付き合いたいと思うまでには至らず後悔はしていない。でももったいないことをしたかもしれない。

 

 ということがあったので感謝を伝えるために結果を伝えにまた3人と図書室に行った。そしたら松井さんが

 「木下のくせになかなかやるわね。ちょっと見直したわ」と言いながら北条さんのツインテールの片方を指でくるくるしている。北条さんはされるがままだ。

 「島津川さんありがとう。なんかすごいねえ。本当に30年も待たせたらどうしようかと思ったわ」と言ったら

 「それはそれで美しいじゃない。そして凄いのは私じゃなくて現象学よそしてニーチェよ」

 「現象学?ニーチェ?」と私が言ったら。

 「あ、いいのいいの気にしないで」って松井さんに言われた

 「とにかく自分を最優先に次に他人この順番を忘れないで。それが一番いい結果を生み出すのよ。それがニーチェよ。後自分の気持ちに一番フィットする言葉の配列を考える技術が現象学よ。つまり現時点の自分から見て何がわかるかを正確に記述し憶断を排除する技術!今回は、福田さんが勝手に時間の制約があるものだと言う思い込みよ。その時点では、まだそんなものないのに、それを勝手に付け加えることで選択肢が歪んでしまっていたのよ。つまり外に答えがあるんじゃなくて常に自分の中に答えはあるものなの」と島津川さんは難しい言葉を使いながら拳に明らかに力が入っているのがわかる。私は島津川さんの何かのスイッチを入れてしまったみたいだ。私は何か怖くなったけどまた何かあったら相談していいかと言ったら松井さんがきょとんとした顔して

 「え?何?その距離とる感じ?」と言われたのでなんとなく今度からこの輪に加わることに私はなったみたいだ。

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