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アイアンワールド:短編「腐肉の匂い」

ホラーです。苦手な方はブラウザバックしてください。






私の名はイーライである。かつて人の姿をしていたが、今は鉄エルフの身体に魂を封じられている。このアイアンソウルズとしての生は、忌々しいものだ。

元の肉体の時は、生き血を嗜むことなど思いもよらぬことであった。しかし、この冷たい金属の身体に移されてからというもの、腐肉への渇望に駆られぬ日はない。腐敗の臭気こそ、今は私の糧となるのである。

昨日もまた、森から腐肉の匂いがしてきた。迷うことなく、その元へと足を運んだ。倒れていたのは、死体であった。血はすでに凝固し切っており、目玉は蝿に喰い荒らされ、臓器の一部が飛び出している有様だったが、躊躇することなくその死体に歯を当てた。腐敗した臓器こそが、今は私の至高の宴となるのだから。

鉄の口が動くごとに、金属特有のきしむ音が長く響いている。それまで感じることのなかった餓えが完全に満たされ、私はこの世界での生きる力を見出した。それは死んでいないというだけの希望の無い生ではあるが。

ちょっとホラーに寄せすぎかなー。