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Starvoyager's Quest: The Stellar Brain's Journey 002

" Neuro-Sync Nexus - The Power of High Touch"

”船内の倉庫区画に、量子しールドによる檻を構築したんだ。転送されたアプロナータ達をそこに監禁するつもりでね。うまくいったよ。でもアプロナータ達は檻からの脱出を試みたんだ。”-エルダー・サイモン

アプロナータの一体が、量子シールドの檻に手を触れた。触れた瞬間大きな電磁的衝撃がその一体を一瞬にして硬直させた。そしてその一体は倒れた。近くにいた別の一体がその倒れた個体を介抱するような行動をとった。倒れた個体はすぐにすっくと立ちあがり、介抱をした個体とハイタッチをした。
介抱した個体が、次に檻に触れたが、硬直するようなことはなかった。しかし、量子シールドの檻は、その手に強い衝撃を与えたようで、その個体は手を引き、自らの手を眺めた。指先の部分を見つめて、舌打ちをしたように見えた。爪が一枚かけている。別の一体とハイタッチを交わすと、爪の修復に取り掛かった。
ハイタッチを受けたもう一体は、折に近づく事なく、「抵抗は、虚無への道」と周囲に向け意思を表明したが、何も返事がないことに、戸惑っているようにも見えた。

その後、12体は全員でハイタッチを繰り返した後、各々個別の方法で檻からの解放を試みているようにみえた。そのうちの一体がへたりこむ。よく見ればその目には涙が浮かんでいる。それにきがついた別の個体が泣いている個体とハイタッチをした。泣いている個体は、泣くのをやめ改めて折からの解放を試みた。
12体がそれぞれ12回づつ別の方法を試みている様子がうかがえた。しかし、量子シールドの檻は彼女らを解放することはなく、その使命を果たした。アプロナータの一体が、

「あたいは、非戦闘体。抵抗の試みは失敗したからさ、負けを認めるよ。sそれでで、あたりをどうするのさ」

といった。

「じゃ、俺の召使になってよ」

エルダーは、夢をかなえるための第二歩を歩み始めた。
12体は再び全員でハイタッチを始めた。

「ハイタッチって」エルダーが口にすると、「まるでチームワークの良いスポーツプレイヤーみたいですね」とステラー・ブレインが当たり前のことを答えた。「俺もあれに混ざりたい」エルダーの趣味は少し変わっている。

「あたいは、高くつくよ。十分な空間とエネルギーがいるね。用意できるっていうの?」

先の個体とは別の個体が言った。いかにも高くつきそうな美しい個体だ。

「一畳と二合飯。それが最低だよ」

エルダーはよくわからなかったが、ステラ・ブレインが意味をエルダーに伝えた。

「え?、それだけ?」

「それだけのようです」

「いいよいいよ。契約成立だ。ステラー・ブレイン、すぐにポッドを用意してくれ、船体上部にアプロナータの居住空間を作ってくれ。プレハブでいいよ」

「了解しました。12時間27分52秒で準備します。スタート!」

アプロナータの居住ポッドは、船体の上部に取り付けられた。まるで熱気球のような不格好な船体となったが、エルダーの夢は膨らむばかりだった。


セルヴィトルム・ボーギス・アプロナータ調査報告

項目ナンバー: AP-001
項目名: ネウロ・シンクロニクスのハイタッチ
内容: アプロナータの「ハイタッチ」は、集合意識を同期させる重要な過程であり、ネウロ・シンクロニクスによって実現されます。手と手を合わせる一瞬において、各個体の脳神経活動が相互にリンクし、情報の同時交換が行われます。このプロセスにより、記憶、指示、体調のデータを共有し、アプロナータの個体性は一時的に解消されます。

項目ナンバー: AP-002
項目名: データ融合と共鳴
内容: ハイタッチによって得られたデータは、アプロナータ同士の相互共鳴によって統合されます。データ融合により、個々のアプロナータが持つ情報が一つの共通意識として融合し、集合知のレベルでの認識が形成されます。これにより、アプロナータは集合的な目的を理解し、共同行動を取る能力を高めることが示唆されます。

項目ナンバー: AP-003
項目名: ネットワークの強化と相関
内容: ハイタッチを通じて、アプロナータ同士のネットワークが強化され、相互の結びつきが増加します。集合知を持つネットワークの形成により、情報伝達の効率化やリアルタイムの意思疎通が可能となります。アプロナータ間の相関が高まることで、集団の協調性と一体感が向上すると推測されます。

項目ナンバー: AP-004
項目名: 集合意識の過渡的解消
内容: ネウロ・シンクロニクスによるハイタッチによって、アプロナータの集合意識は一時的に解消されます。個々のアプロナータは自己の個体性を一時的に回復し、独立した認識を持つことが観察されました。しかし、ハイタッチ終了後には再び集合意識が形成され、個体間の境界は再び解消されます。

項目ナンバー: AP-005
項目名: ハイタッチの効果持続
内容: ハイタッチによるネウロ・シンクロニクスの効果は持続的であり、個体間の相互作用にも影響を与えます。ハイタッチを経験したアプロナータ同士は、集団内での協調性が高まり、統一的な行動をとる傾向が見られました。この効果は時間とともに蓄積され、アプロナータの集合知として結実することが期待されます。

以上の調査報告書により、アプロナータのハイタッチが集合知と統合的な意識形成に重要な役割を果たすことが示されました。ネウロ・シンクロニクスを通じて得られるデータの共有や相互作用によって、彼女らの集団は未知の可能性と洞察を追求する能力を向上させていることが理解されました。