見出し画像

プロの漫画から学ぶ漫画の描き方9(3のリメイク)

※この勉強法は劇薬です。

もの凄いしんどいです。

時間もかかります。

初心者には早すぎる勉強法です。

最低でも視線誘導を意識したり

コマの中の情報量を調節したりしながら

漫画を製作してる人でなければ

ついていけません。

その上

ぼくは丁寧に教える気がありません。

それでもいい人は覗いていってください。



まずやることは

プロの漫画を軽く模写することです。


売れてる作家

上手い作家

自分の目指す作家

どれか参考にしたい漫画を選んでくださいね。


ポイントは長期連載してるものより

読み切りのほうが良いということです。


読み切りは

1話完結なので長期連載より作り込まれていて

作家の技術がふんだんに詰まっています。

あとは

新人時代のものより

連載を経験したあとの漫画のほうがいいです。

どの方も

新人時代よりはるかに力をつけています。




第9回です。

今回は4ページの4コマ目です。





4ページ


4コマ目


このコマの中の情報は

「右のフキダシ」「左のフキダシ」「男(主人公)の顔のアップ」「効果音」

です。


視線誘導は

「右のフキダシ」→「男(主人公)の顔のアップ」→「効果音」→「左のフキダシ」

です。




このコマには

いくつもの仕掛けが張り巡らされています



まず1つめ

3コマ目→4コマ目には

一点透視の理論が流用されていることです。


2つのコマの男(主人公)の目の位置は同じ高さにあります。

これがアイレベルの役割を

しているように見せています。

そして3コマ目の

男(主人公)の目が消失点の役割を

しているように見せています。


これによって読み手には

3コマ目の男(主人公)が

遠くにいるように感じて

4コマ目の男(主人公)が

近くにいるように感じます。



これを踏まえた上で

4コマ目の男(主人公)の顔に

影を入れて黒くすることで

遠景のモノは薄く

近景のものは濃く描く

空気遠近法

も使われています。




2つめは


このコマの中にはいくつもの

マジックナンバー3

の理論をもとにした

仕掛けがあるということです。


マジックナンバー3
人間は「3」という数字に対し、安定していて丁度いい、という感覚を持つとされる。
マジックナンバー3の法則では、物事の説明をするとき、具体例を3つ挙げると説得力が増すとされ、これは2つだと乏しい・足りない、4つでは多すぎる、3つが丁度いいと感じる人間の心理傾向があるためである。

ENGINE


「右のフキダシ」「男(主人公)の顔のアップ」「左のフキダシ」


画面の右上の角から

左斜め下へ視線誘導される

一連の流れで目に入るものです。


これがマジックナンバー3です。



次は右下の角から

左斜め上へ視線誘導された場合に

目に入るものです。

「画面右下の白い部分」「鼻の白い部分」「カッという効果音」


これもマジックナンバー3です。



あとこのコマは縦に3分割されているように

見えるように細工がされています。


「右のフキダシのある縦の空間」
「男(主人公)の顔がある縦の空間」
「左のフキダシのある縦の空間」


これもマジックナンバー3です。



さらにこのコマは横にも3分割されているように

見えるように細工がされています。


「カの効果音が配置されている段の横の空間」
「ツの効果音の配置されている段の横の空間」
「左下のフキダシが配置されている段の横の空間」


これもマジックナンバー3です。



とにかく色んな所に

マジックナンバー3

が仕掛けられています。



3つめは


このコマには

マジカルナンバー7±2(ミラーの法則)

を利用した仕掛けがあるということです。


マジカルナンバー7±2(ミラーの法則)
マジカルナンバーとは、人間が瞬間的に保持できる情報の数は「7±2」であるとするもの。アメリカのハーバード大学の心理学者、ジョージ・ミラー教授(George Armitage Miller)による1956年の論文「The Magical number seven, plus or minus two」で登場し、人間が短期記憶に保持できる情報の数は7±2(7を中心としてプラスマイナス2、つまり5~9)であることを主張していると解釈されることが多い。認知心理学の研究の先駆けとなった。「マジカルナンバー7±2」「ミラーの法則(Miller’s law)」とも呼ばれる。
短期記憶とは人間が瞬間的に保持できる記憶のことで、数十秒しか記憶されず、また情報の容量の大きさにも限界がある。ミラーは、保持する情報の単位を「情報のかたまり」として「チャンク(chunk)」と呼び、短期記憶で保持できるチャンクは「7±2」であるとした。ただし該当するのは日常的なものに限定される。

シマウマ用語集



このコマは9つの空間に

仕切られているように感じさせるような

構成をしています。


「カの効果音」「髪」「右上のフキダシ」
「ツの効果音」「目と鼻」「耳」
「左下のフキダシ」「口」「首の筋肉のライン」

です。



あともうひとつ。


「カッ」「髪の白い部分」「右上のフキダシ」
「左目」「鼻」「右目」
「左下のフキダシ」「口」「右下の白い部分」

主に白い部分ですね。


これらが

マジカルナンバー7±2

を用いた仕掛けです。




そして

縦に3分割 

横に3分割された

画面構成の構図のことを

三分割構図

とも言います。




4つめは


さまざま斜線効果を使って画面を演出している

ということです。


このコマには

異なる意味を含めた

2種類の斜線効果があります。


1つは

左斜め下へと

ながれていくラインです。


「右のフキダシの枠線」「アゴのライン」「首筋のライン」「目のライン」「鼻のライン」

これはすべて「雷の光」を表現しています。


もう1つは

右斜め下へと

ながれていくラインです。


「開けねえならの言葉の傾斜」「右のフキダシの枠線」「頬のライン」
「髪の毛から首筋までのライン」「効果音の角度」

こちらのほうは「雷の音」を表現しています。



「効果音」は「カ」「ッ」

それぞれ単体としては

「雷の光」を表現しています。


「カッ」という連続した言葉では

ワンセットで

「雷の音」を表現しています。



視覚情報をコントロールして

絵で「雷の光」「雷の音」

分けたと言えます。




そして

斜線効果の線を多く描写することで

情報量が多くなり

雷に対する印象を強くしています。




画面の左上の「髪の毛の雷の光」

あたっている部分から

画面の右下の「首筋の雷の光」

あたっている部分までの

斜線効果のラインは

「雷の音」を表現しているラインです。



この斜線効果を使って

画面中央で

「雷の光」「雷の音」

ひとつの視覚効果としてまとめ

絵で「落ちてきた雷」

を表現しています。



ほかには

右上のフキダシの中の言葉の

「え」の下側の枠線

「なら」の左側の枠線

2つの斜線の延長線上の中に

「目」が入ることで

スムーズに視線誘導がおこなわれています。



5つめは


このコマの構図は

黄金分割構図

だということです。


詳しいことは検索して調べてみてください。




これらがこのコマに仕掛けられた

さまざまな仕掛けです。



このように

単純に1つだけの情報ではなく

複数の情報を重ねて

いくつもの意味を含ませることで

付加価値をつけ

読者の目を楽しませる。



これがコマの中で画面作りをしていくことで大事なこと

なのだと思います。




今回はここまでです。

お疲れさまです。

ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?