#8ファイトソング(6月エッセイ)

最近、プレイリスト「fight song」の曲がどんどん増えていく。

自分にとって音楽が身近になったのは、中学生の時にサンタさんにおねだりしてiPod touchをもらった時からだ。でも最初は、音楽のストリーミングサービスなんてなかったから、テレビの音楽番組を動画に撮って音楽をiPod touchに残してた。家族の話声とかが入ってしまってブツクサ言いながらもう一回撮り直すなんて、昭和時代のカセットテープへの録音を彷彿させる行動をしていた。

高校生になってからスマートフォンを手に入れた。
LINEスタンプの種類の多さへの謎の胸の高鳴りは、今でもしっかり覚えている。ストリーミングサービスのアプリを入れてから色んなプレイリストを作ったが、最初に作ったのは「fight song」だった。

このプレイリストには、人生の節々でお世話になっている。
部活の帰り道、試合に向かう日、受験勉強で塾に向かう時、受験失敗して絶望した時、失恋した時、夢を決意した時、、

最近、新しいバイトが始まった。
就活生時代ぶりにパンプスを履かなきゃいけない。足が痛い。
毎日無残な姿になった足の絆創膏と一緒に帰宅する。虚しい。
痛い足を見つめながら、ふと「自分の将来は、どうなるのだろうか」という思いが頭をよぎる。

帰りの電車で、無理やり体に染み込ませるように、
言い聞かせるように目を閉じて音楽を聴く。

その曲の歌手やバントが、私の後ろにアクアマンのメインビジュアルみたいに応援してくれてる。これだけの応援団がいるから大丈夫。大丈夫。と言い聞かせて今日も家に帰る。

帰り道、イヤホンで曲を聴いてるあの人にもこの人にも、背中にはその曲のちっちゃい応援団が付いてると想像すると、なんだかすこし可愛く思えた。

誰かを想って作ったものは、きっと誰かの心に届く、心の奥のほうに。
歌手は、曲に。 役者は、演技に。 想いを込める。

自分もいつか誰かの心に届くなにかを作るために、
「fight song」に背を押されながら今日も少しずつ歩みを進める。

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