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半導体とは何か

半導体とは何かとその特性、用途を書きました。

半導体

半導体とは何か

半導体を知るためには、導体と絶縁体を知る必要があります。
導体とは少しのエネルギーを与えただけで電気が流れる物質で、鉄やアルミなどの金属は導体の代表例です。ここでいうエネルギーとは熱・電気・光などです。

絶縁体(不導体)は、ちょっとやそっとのエネルギーを加えただけでは電気が流れない物質です。空気、水、ガラス、ゴムなどは絶縁体ですが、一般に想像されるような「如何なる電気も全く通さない」わけではなく、ある電圧以上では電気を通します。このことを専門用語で「絶縁破壊」と言います。

導体と絶縁体の中間の性質を持つ物質が半導体です。半導体はちょっとエネルギーを与えると、電気が流れるようになり、エネルギーを0にすると電気が流れなくなります。

バンド理論で半導体を説明する

エネルギーを与えた時に電気が流れるのが導体で、電気が流れないのが絶縁体でその中間にあるのが半導体であると説明しました。しかし、この説明では何が半導体なのかがはっきりわかりません。
専門の世界ではそれらの区別をバンド理論というもの用いて行います。バンド理論とは電子がどんなエネルギーを持つことができるのかを線や帯で表現したもの。具体的な図や説明は下のサイトがわかりやすいです。

バンドが存在するエネルギーレベルでは電子がその準位を占有することができます。導体はどのエネルギーでもバンドが混ざり合っており、電子が存在することができます。違うレベルには少しのエネルギーを加えただけで移動することができるので、電流が流れやすいのです。

それに対して絶縁体は、バンドが存在しないエネルギー領域が存在し、エネルギーギャップが開きます。ギャップ内のエネルギーでは電子が存在しないので、より高いエネルギー状態になるためには外部から比較的大きなエネルギーを与えてやる必要があります。エネルギーギャップを越えない限り電流は流れないので、絶縁体は電流が流れにくいです。

バンド理論の定義を用いると、半導体とはエネルギーギャップが小さい絶縁体を指します。電圧を数Vほどかけてあげれば、理論上は状態を遷移させることができます。エネルギーギャップがどれほど小さいかははっきりしておらず、文献によって違います。

半導体は、トランジスタなどの電子デバイスと、LEDなどの光デバイス両方で応用がなされてきました。今回は電子デバイスとしての側面をさっくり書きます。

電子デバイスへの応用

半導体の王様: シリコン

一口に半導体といっても用途に合わせて多種多様に存在しますが、半導体の電子デバイスとしての側面で代表的な材料がシリコン(Si)です。Siは地球上の岩石や砂、ガラスなどを構成する物質で、身の回りに無尽蔵にある上、半導体として求める性質を満たしています。チップの基盤にSiが使われるのはそれが理由です。トランジスタやFETなどのいわゆるパワー半導体にも、SiCというシリコンと炭素の化合物が使用されています。

不純物半導体

物質内に多数の電子が存在するほど、デバイスの電流値や応答性は向上します。応用上は中性の結晶を使うのではなく、不純物を混ぜた半導体を使います。

不純物は元の半導体の価数と異なる物質にします。それによって原子の結合手の違いから、電子や正孔が内部に生まれます。電子や正孔は結晶内部で電荷を運ぶ「キャリア」となります。電子をキャリアとする半導体をn型半導体、正孔をキャリアとする半導体をp型半導体といいます。

整流効果

p型半導体とn型半導体の接合の仕方で、さまざまなデバイスが作成できます。その一つであるダイオードは、電流を一方向にしか流さない整流効果を持ちます。整流効果は交流を直流に変換する際に使用されます。

高速スイッチング

半導体の電気を流したり、逆に流さなくする性質はオンオフのスイッチに使うことができます。それも、自分たちが手で電気のスイッチをカチカチ動かすような速度より何千倍も早くです。

二進数で動作するPCの中では、0と1の切り替えを半導体が担っています。例えば"001010011"という命令があるとすると、電気的には"off off on off on off off on on"のように半導体が高速で電気を流すか流さないかを切り替えています。
切り替える速度が速いほど、高速で0と1の命令が実行できるのでPCの性能は上がります。PCの処理速度は根本的には半導体を構成する物質に依存するため、性能向上に半導体の新材料開発が欠かせません。

電圧・電流の増幅

半導体はスイッチの他に、トランジスタという素子によって蛇口のように電圧・電流を調整する作用もあります。トランジスタは少量の電圧で、より大きな電圧を制御することができます。増幅効果の解説は下のサイトに電気回路も含めて書かれています。

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