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ビッグアームの『有害』サイクルの紹介

最近ビッグアーム(A氏)のステロイドパーソナルを受けた方からの被害報告があり、かなり深刻であると判断したため、まとめます。もちろん無料です。

サイクル内容

  • ステロイド

    • テストE 300mg/週 10週間

    • ボルデノン 300mg/週 10週間

    • オキシポロン(アナドロール) 150mg/日 33日間

  • ケア剤(サイクル中)

    • タモキシフェン 副作用が出てから1日1錠(20mg)飲む

    • フィナステリド 1mg/日

    • ウルソ 200mg/日 オキシポロン使用中のみ

    • アスピリン 30mg/日

    • アキュテイン 0.5mg~1mg/日 ニキビが出たら飲む

    • HCG 5000IU/週 5週目 10週目の終わりに注射

  • PCT

    • クロミッド 50mg/日 30日間

    • アスピリン 30mg/日

サイクルには以下の問題点があります。

  • 似た効果のステロイドを組み合わせている

  • ナンドロロン系が入っていない

  • 注射の用量が少ない

  • 経口剤が多すぎる

  • 必要なケア剤が無く、不要なケア剤が多い

また、被害者のヒアリングと情報提供から、このサイクル以外にも問題点があると考えています。
以下はヒアリング内容から把握できた問題点です。

  • ほぼすべてのクライアントにコピペでサイクルを送り付けている

  • 作用機序の質問に答えられない

一つ一つ掘り下げていきましょう

似た効果のステロイドを組み合わせている

テストステロンとボルデノンを組み合わせていますが、そもそもこの二つは同じくテストステロン系(ボルデノンはテストステロン誘導体)です。また、期待される効果などもほぼ同じで、ボルデノンに多少の空腹作用があるかどうか程度です。この二つを組み合わせるサイクルは20年前のような、トレンが簡単には手に入らない時期ならまだあり得ました。
しかし現在はトレンボロンでも
・副作用対策が体系化されたこと
・個人輸入が容易になったこと
これらの点で昔とは大きく状態が異なります。
よって、テストとボルデノンによるスタッキングのメリットは少ないです。

ナンドロロン系が入っていない

ステロイドのスタッキングでは、
・テストステロン系
・ジヒドロテストステロン(DHT)系
・ナンドロロン系
を組み合わせるのが一般的です。人によってはDHT系を抜くサイクルもあります。
しかし、A氏のサイクルは見てわかる通り、テスト系が2種類、DHT系がアナドロールで1種類だけです。テスト系で重ねるのは10億歩譲って理解するとしても、ナンドロロン系が無いことが理解できません。
A氏はこれに対する言い訳として、「自分はこれで大きくなった、自分の師匠がこれをやっていた、これは副作用が少ない良い方法だ」と言っています。しかし、どれも的外れです。
まず、自身がこれで大きくなるのは当然です。なぜならそれはアナボリックステロイドだからです。「自身が大きくなったこと」と、「より良いサイクルが存在する」「よりメリットが多く、デメリットが少ない選択ができる」ということは全く別の話です。
また、副作用が少ないことを利点にしていますが、高用量のアナドロールを勧める時点でそのメリットは消えています。経口剤は肝毒性が強く、さらに効果も安定せず、ケアがし辛く、副作用も出やすい薬です。それを高用量で入れているのにもかかわらず「副作用が少ない」とはあまりにも乱暴です。

注射の用量が少ない&経口剤が多すぎる

注射の用量が週当たり2mlですが、少ないです。何が問題かと言うと、アナドロールを1か月超も入れておきながら、注射剤の用量が少ないのは意味が分かりません。
アナドロール以外にもアナボリック効果の高い注射用ステロイドはいくらでもありますし、アナドロールが強力と言われているのはあくまで「経口にしては」といった類のものです。一般的には注射剤の方が効果も高く、副作用も管理しやすく、また副作用が出にくいです。
マステロンを入れるもよし、スーパードロールの注射剤で攻めるもよし…と、注射剤を使えばリスクを最小化し、リワードを最大化できます。わざわざ無意味にハイリスクなアナドロールを使うメリットがないのです。
確かに一部では経口剤をキックスタートの際に使う方もいらっしゃいますが、私はこれについても否定派です。(これについてはまた別の機会に。)

ケア剤があまりにも少ない & 選定が意味不明

一番の問題点はこれです。ありえない。
今までは「このサイクルは得が少ない」といった話でしたが、これは「しかも害がある」という話です。

1,女性化乳房対策がタモキシフェンのみ
A氏はタモキシフェンしか女性化乳房対策を取っておらず、その上「副作用が出てから使いましょう」と意味不明な指導をしています。
そもそも女性化乳房は発症と進行を起こす病気です。進行した段階でSERMsであるタモキシフェンを使っても手遅れです。タモキシフェンは進行した女性化乳房の治療薬ではありません。基本的に予防に効果のあるものです。

AIの作用図


よってサイクル中に毎日、それもアロマターゼ阻害薬(AI:Aromatase Inhibitor)と組み合わせて使われるものです。(だからユーザーの肌は乾燥しやすいのです。)

2,DHTを入れているのにフィナステリドを使っている
また、ハゲのケア剤を使っているのも意味不明です。
フィナステリドは5-α還元酵素を阻害するので、テストステロンがジヒドロテストステロンに変換されるのを予防します。ただし、ジヒドロテストステロンはテストステロンの5倍のアナボリック作用を持つため、切り捨てるとテスト系のアナボリックステロイドの作用が弱まります。
また、アナドロールがそもそもジヒドロテストステロン系なのですから、外部からハゲになる薬を入れている状態です。しかもそれは5-α還元酵素に無関係にジヒドロテストステロンとして入ってくるのですから、予防としてフィナステリドを使うのは無意味です。ケア剤の作用機序すら知らないのであればパーソナルをするべきではないです。

3,ニキビ治療薬にアキュテインを使っている
これも良くないです。アキュテインが国内で未承認なのは、副作用として胎児への催奇形性(女性)と鬱があるためです。
テストステロンを外部から入れている場合、サイクル中後はテストステロンの自己産生能力が落ちます。そのため、倦怠感や鬱症状が現れることがあります。
またニキビについてはサイクル終了後もケアが必要な場合があり、その際にアキュテインを使用すると鬱症状が強まることになります。
鬱によって自傷行為、トレーニングのモチベーションが下がるなどの間接的なデメリットを受けることにも繋がります。それで済めばまだ良い方で、最悪自殺も考えられる薬剤を簡単に使うべきではありません。

4,アスピリンを軽々しく使わせている。
心不全、高血圧対策としてアスピリンを使用していますが、これもありえません。
アスピリンは血液の流れを良くしますが、併用禁忌薬が多く、またサプリメントとの合わせ方も慎重に行う必要があります。
特にカリウムサプリメントと摂取するのは危険で、薬剤の添付文書に書いてあります。このA氏は過去にYouTube上で北村克哉氏の死に触れていましたが、その際も「アスピリンを使ったり、カリウムサプリを使ったり、納豆を食べたりして血液をサラサラに…」と発言していました。薬剤の添付文書すら見ず、物凄く適当に指示を出すのは有害でしかありません。
さらにいうならば、テスト系600mg、アナドロール33日間で回避すべ副作用は高血圧などではなく、むしろ肝毒性についてです。
しかし、肝心な肝毒性ケア剤はおざなりで、意味が分からない箇所は過保護にする、本当に意味が分かりません。


ここまではサイクルの問題点ですが、A氏の振る舞い、パーソナルトレーナーとしての資質にも問題があります。それはまた別の機会に

では、どのように改善するべきか?

既にこのサイクルを開始してしまった場合は、以下の方法を取るのが最善かと思います。
・アナドロールをすぐに辞める←最優先
・DHT系の注射剤を入れてみる(マステロン or プリモボラン など)
・AIを少し入れる
・アナドロールを入れてしまった場合、ウルソをアナドロールを終了後も飲む
・タモキシフェンは毎日少量(10mg程度)入れる
・ハゲ、ニキビのケア剤を捨てる
・有酸素運動を取り入れる
などで改善できます。


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