ハンチバックを読んで
芥川賞を受賞された、市川沙央さんの「ハンチバック」という本を読みました。
短い話ですし、文章から感じる熱量に圧倒されて、すぐに読み終わりました。
私は泣きながら読みました。
今持ちうる文章力ではうっすい感想しか書けないと思いますが、どうにか書きます。
障害者って普段あまり見ない様な気がしますが、普通に暮らしてます。
電車に乗っている時、会社に向かって歩いている時、休日にゲームをしている時、そのすぐ側に。
ただそれは、社会からは違います。
存在していないことになっている、まさにその通り。
障害者支援の実態
私は、数年前まで普通の健常者でした。
立ち仕事で毎日歩き回っていたのに、ある時を境に突然動けなくなりました。
ちょっと想像してみて欲しいです。
今、スマホを支えている手が突然痺れて、スマホを取り落として、持つ事もできない。
寝転んでいるベッドから立ちあがろうとして、足が紙切れのように力の通らないものになって、全然立ち上がれない。
そんな感じです。
障害者(自称)になって1番辛かったのが、社会福祉から見放された事でした。
まず、デスクワーク以外の殆どの仕事ができない。
働けたとしても1日8時間の就業が厳しく、安定しない。
求職活動をしても書面から通らない。
障害者採用枠に応募も考えましたが、障害者手帳持ちではないため、対象外。
※私の病気は、障害者手帳の認定を受けられずに苦しんでいる人がとても多い病気なのです。
失業保険を受給する為には、自宅から遠いハローワークまで何時間もかけて、毎月通わなければいけない。
認定日もあっち都合で指定されますし、当日ハローワークまで行けなければ、受給できません。
認定日に体調を崩してしまう人も多いはずですが、そういった事は殆ど考慮されていません。
難病医療費助成制度については、政府が決めた限られた病気になった人だけが対象。
(私の病気は対象外)
障害年金は、障害者の強い味方のひとつですが、
私の病気では、申請が通らずにお金が貰えない事が多いです。
近年は特に審査が厳しくなっているとも聞きました。
また、それらを受給する為には、年金事務所などに何回も通って必要書類を準備する必要があります。
支援がもらえるまで、早くても半年程度はかかるでしょう。
その間、歩く事もままならない障害者は、足を引きずって通うしかありません。
このように支援制度自体はあっても、細かな条件から滑り落ちて、受けることが出来ない。申請までの対応が難しい。そういった状況が多くなりました。
健常者の特権とは
正直、健常者として暮らしていた頃は、障害者の事を考えもしなかったです。
「自分だって生きるのに必死だし!」という感じで。
でも、それは違いました。
働けない、支援がない、住む場所がない。環境を選べない。
病気を治療しながら生きる土壌がない。
家族の理解が得られずに孤独に苦しんでいる人。
気を失うほどの痛みがあるけど、誰にも頼れないから我慢して、夜まで働いている人。
もう生活が厳しいから生活保護も考えなければ、と言っている人もいます。
この本を読んだ時、そういった類の怒りを強く感じました。
健常者の人たちはこの文を読んだ際に、
「そんなことこっちに言われても」
「紙の本が好きで何が悪いんだ」
と思われるでしょうし、それが当然かなと思います。
ただこれはそう言う意味ではなくて、
「紙の本を読むことが出来るのは、″健常者″というごく一部の特権階級者だけ。その事実に、気付いて欲しい。」
という主張なのではないか、と私は読み取りました。
マリーアントワネットの「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」の言葉は有名ですが、
健常者と障害者のあいだには、実はそれと同じくらいの格差が生じているのです。
その格差がある事にすら、気付かないほどに。
まとめ
かなり散らばった文章になってしまいました……。
私は書いた通り、重度障害者ではなく、むしろ軽い病人という程度です。
家族の助けもあり、割と健常者に近い暮らしが出来ていると思います。
ですので、どちらを責めるとかそう言った意図はありません。
ただ、健常者と障害者、そのどちらも心地よく、過ごしやすい社会をつくっていければ、万々歳だなあと思います。
以上です。
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