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「FREDERIC MALLE」の香水。新宿伊勢丹。ストレスコーピングと依存。

「香りを身に纏う」というのは、ある種、衣服と同じ心理的作用を人間にもたらします。

はじまりは、L'OCCITANE(ロクシタン)のヴァーベナにハマったことだった。
実感として「柑橘系やオレンジの香りに抗うつ効果がある」と感じていた。

高校生の頃、「サムライ」や「ブルガリ」の香水が流行っていましたね。みんな色気づいて、香水をつけ始めるんです。でも流行りが去って冷静になってみると、なんだか恥ずかしくなってきて、香水を避けるようになっていました。

しかし、年齢的な理由からか、香水に対して客観的な考えを持てるようになったからか「また香水をつけてみようかな」「香水について掘り下げてみよう」という気持ちが沸々と湧いてきた。

ネットで調べた結果「どうやらLOFTに香水売り場があるらしい」という情報を得て、LOFTに行ってみると、隅にこじんまりとした香水コーナーがあった。小さいボトルにいくつかサンプルがあって、試しに匂いを嗅いでみた。
「サムライ」「ブルガリ」「ジバンシー」あたりを嗅いでみたが、これが良い匂いだとは全然思えない。うーん。私の鼻が悪いのか?というとこで一度退散。

インターネットでメンズの香水について調べ、試しにカルヴァンクラインの「CK one」とCLEANの「ウォームコットン」を購入してみた。
結果としては
「なんだか嫌な匂いだな」と感じた。
やっぱり高校生のときにつけてみた香水と同じ印象。ずっとつけていると気持ち悪くなりそうな気がした。

それから「武蔵野ワークス」という日本の香水メーカーも試してみた。これは香り自体は控えめで良かったけれども、肌に合わなかった(肌が弱いので)。

いろいろネットで検索を続けた結果

新宿伊勢丹に香水を探しに行くことにした。


まず試してみたかったのがmolton brownというブランド。売り場に行き、私は目当てにしていたオレンジ、ベルガモット系の香りを試してみたいと販売員に頼んだ。試してみると、想像していた香りとはまったく違う嫌な匂いだった。

私は顔をしかめた。

すると販売員さんに笑われた。
「失礼だな」と私は思ったが、何も言わず販売店を離れ、別の階の香水売り場に向かった。

何曜日だったかは忘れたが、広い香水売り場には他の客は見当たらなかった。香水売り場は10社以上のブランドがそれぞれブースを構えており、女性の販売員さんが20人以上いた。

香水売り場に入ってきた私に、一斉に視線が集まるのを感じた(本当です。自意識過剰なわけではない)。

高級な香水売り場に対して、私の場違い感は半端じゃなかった。だが、私には「自分に合う香水をみつけたい」という信念がある。ひるむな。大義は我にあり。

私は、ネットで当たりをつけていたブランドのブースへ行き「オレンジとかベルガモットのような香りを探しています」と言った。
販売員さんは、なんだか不審そうな表情をして(今思うと良くない接客だ)「これはレモンのような柑橘系の匂いなんですけど」といって香水を一つ勧めた。
嗅いでみたらレモンの匂いがした。
私は「そうですね。これはレモンですね」と言った。
販売員さんは「そうですね」と言って、なんだかムッとした態度をとった。

そして、数秒の沈黙があった。


えーっと。。。(やっぱり良くない接客態度だよな)

販売員さんは「じゃあ、どういう香りをお探しなのですか?」と尋ねてきた。
私は再び「オレンジとかベルガモット系の香りはありませんか?」と聞いてみた。
すると、別のブースのFREDERIC MALLEを勧められた。

FREDERIC MALLEで再びオレンジのくだりを説明し、

勧められた「BIGARADE CONCENTREE」の香りに、私はひっくり返るほど驚いた。


こんなに私が探し求めていたものとピッタリ合う香りがあったのかと、脳に電流が走った。
しかし、値段をみてみると、とんでもなく高い。
今まで香水にこんな値段を払うなんて考えたこともない。とりあえず私は、香りをつけてもらった紙を大事に手にとり退散した。

帰宅してからネットで検索してみると、高島屋のネット通販で一番安い10mlのボトルが販売されていることが分かった(それでも8000円くらいはする。タイトル写真の奥の方にあるスプレータイプのものです)。

購入してからは、休みの日につけてみて「あぁー良い匂い!幸せー!」と香りに浸る程度だった。
しかし、人間の欲望は抑えられませんね。
仏教でいうところの「渇愛」ですね。
良い匂いを嗅いでいたいという欲望は増殖するのです。
今では私は毎朝「BIGARADE CONCENTREE」をつけて出勤しています(笑)

そして、またこれがFREDERIC MALLEの販売戦略にまんまと乗せられているという話しなのですが。

高島屋がネット通販で10mlボトルを販売しなくなったことを期に、私は銀座の阪急メンズ館で「BIGARADE CONCENTREE」を購入するようになりました(高島屋ではない怪しいサイトで10mlボトルを購入したところ、まったく違う香りだったので!そんなことがあるのですよ。ダマされた)。

販売店で購入すると、いつも1.2mlのサンプルをくれます。はじめは他の商品には目もくれず(このブランドで一番有名なのは「PORTRAIT OF LADY」なのですが)「BIGARADE CONCENTREE」一択でした。
だけど、もらったサンプルをたまにつけたりしていると、だんだんその香りが好きになってくるものなのです。
私は、完全に販売戦略にハマっていました。

最初は「バラの匂い?男がバラの匂いなんて。フン」と鼻で笑いながら、たまに匂いを嗅いでいました。

ところが、

気づいたときには、風呂あがりに「ROSE TONNERRE」のサンプルをつけるという行為が止められなくなっていました。


出ました、渇愛です(笑)

それは知らぬ間に私の仕事とプライベートを切り替える、大事なスイッチになっていました。
そう、ONのスイッチは
「BIGARADE CONCENTREE」
OFFのスイッチは
「ROSE TONNERRE」。
いつの間に私はこんなに浪費家になってしまったんだ。だいたい、芸能人でもないのにスイッチを切り替えるとか。。。

もちろん強い香りは、嫌な感情(ストレス)をコーピングする一つの方法なので、私にとって心を平穏に保つための方法ではあるのですが。
これは、もはや洗脳レベル、依存レベルです。
そして、値段が高いんです(泣)

だけど、やめられそうにありません。

という、そんな香水のお話しです。。

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