見出し画像

ダイアログ・イン・ザ・ダーク

先日友人とダイアログ・イン・ザ・ダークに行ってきました。

ご存知無い方が多いと思います。
こういう物です↓

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、視覚障害者の案内により、完全に光を遮断した”純度100%の暗闇”の中で、視覚以外の様々な感覚やコミュニケーションを楽しむソーシャル・エンターテイメントです。

ダイアログ・イン・ザ・ダークHPより

存在を知ったのは大学生の頃。何かの授業で知りました。
案内にある通り、光を完全に遮断した中で視覚障害者の方の案内を頼りに部屋の中を進み、誘導に従って様々な体験をすると言うもの。

ずっと気にはなっていて、同時に少しの怖さに近い抵抗感があって、いつか…と思いながら体験していなかったものでした。
まさか10年を軽く越える年数が経ってもこの体験がまだできるとは。

そう思い調べると、どうやら体験できる場所は2か所あるらしく、内容がそれぞれ違う事がわかりました。

■【対話の森】 場所:竹芝 子供から大人まで楽しめる。


■【内なる美、ととのう暗闇】 場所:神宮外苑 大人のみ。心身を整える。

・・・どちらがどう違うのかさっぱりわからない。
この体験について、どんなものかネットを漁って調べてみても、視覚による情報が無いものだから、当然写真もなく。体験談も、何をするのか書いてしまってはネタバレと同じで実際の楽しみを奪ってしまうものなので詳細に書かれたものはほとんどなく、いろいろと調べた少ない手がかりで把握し、いろいろと吟味して、今回は【内なる美、ととのう暗闇】に致しました。

1度の回で参加者は最大8名まで。その場でたまたま一緒になった方々と共に体験します。
私が参加した回は7名でした。

受付を済ませて、動きやすい格好に着替え、皆で集まりスタート。
やっぱりどんな体験をしたのかは記せません💦が、視覚情報全く無しの体験はとても良い体験でした。

視覚情報を失くし、他の全ての感覚を頼りに進んでいきます。
普段は視覚情報に大半を頼って生活しているものだから、それが遮断されるのは安全の中とはいえ戸惑いを隠せない。そして、見えない中でいろんなものに意識を巡らせます。
裸足になった足の感覚、手さぐり、音、人を頼ること、声を掛合うこと…。初めましての方々と一緒に、同じ状況下で信頼して状況を伝え合う。時にはきちんと手を取り合い誘導して伝える。先を想像し、これまでの情報を蓄えながら空間を把握し、自分の状態や感じたことを声に出して伝えて、伝えてもらって、全て協力してこなしていく。
いつもより感触に意識を向けて触れると、温度やサイズ感、物からの情報が丁寧に感じ取れます。一つ一つを時間を掛けて確かめていく。そんな時間でした。

言葉にすると、想像していた通りの範囲に収まってしまい、言葉にすると、あの中で体感した感覚が「言葉」「状態」に置き換わってしまう。
そんな感じが今しています。

この体験は人によって受け取るものもだいぶ違うかもしれません。
怖さ、楽しみ、探求、感じる事、人との距離感。様々に。
企画自体のコンセプトがあり、伝わるものもありますが、それ以上に個人のものがあるのではないかなと思いました。

そして、参加者の方がおっしゃっていた言葉なのですが、「暗闇の中で視覚では見えていないのだけれど、経験で見ていた視覚を重ね合わせて見てしまっていた。」と。その通りで、色が見えない中で、感触から判断したものを知識で色を想像したり、空間を経験則から把握したり。
ほんの少しの間では、感覚を鋭敏にする事、状態を把握するなど新体験止まりではありますね。
きっと、この体験をもう一度繰り返したら、少し慣れてしまって同じようには味わえないのだろうなと、最中に何度も思いました。2回目では、行程を理解し、場所も把握してしまうでしょう。鋭敏だった感覚も当たり前のものになってしまったり、慣れにより鋭敏さはなくなるかもしれません。だからこそ、はじめにたくさん味わいたいと体験していました。

そして、すこし不思議だったのが参加者の皆様との関係性。
暗闇になった途端に距離がぐっと近くなり、イベントが終わって、明るくなった後はあれだけ距離が近かったのに急に他人になってしまって不思議な感じと、少し寂しさを覚えました。
初めに少しお姿を見てからのスタートだったけれど、そうで無かったらもっともっと違って姿の関係ない彼らを見たかもしれない。
状況、姿、とはこんなにも距離を変えるのですね。
けれど、帰り道に友人と、体験中の皆さんの素敵だった人柄を楽しく話しながら帰り、とても楽しかったです。

体験としては暗闇になったそれだけの事。
やってみようと思ったら、目を隠して過ごせば出会えるかもしれない。けれど実行に移すことはできないし、やっぱりあの空間は特別でした。

2回目ではもう違うと思いつつ、あの暗闇の世界をまた味わいたいと思っている自分がいます。

興味のある方はぜひ。


おまけはインク画

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?