少女セリーヌ【閲覧注意】
【閲覧注意】
本記事には未成年には相応しくない記載があります。
ご留意のうえで自己の責任でお読みください。
「なにも悪いこともしないのに死刑だなんて、そんなむごいこと神様がおゆるしにならないわ」
彼女はにっこりと微笑みながら言った。素朴に神様を信じ、日々の恵みに感謝しながら慎ましく生きる少女の曇りない笑顔…彼女はまもなく魔女狩りで捕らえられることなど夢にも思っていない。
やがて突然やってきた教会の役人。
「嘘です!私…魔法なんて使ったことありません!」
「申し開きがあれば法廷で聞く」
彼女は有無を言わさず連行される。異端審問にかけられ、裸にされ、鎖に繋がれ、容赦ない拷問にかけられる…。無実の罪を自白させられ、衆目の広場で火刑…すなわち火炙りの刑にかけられて処刑される少女…。
舞台は17世紀のフランス。森で薬草を摘み、亡くなった祖母から教えられた薬を作って街の貧しい人たちに売って細々と生計を立てながら慎ましくひとりで暮らす15歳の少女セリーヌ。ある日突然、嘘の告発を受けて魔女の疑いをかけられ、捕らえられる。もちろん彼女は身に覚えがないと否定するが、「申し開きがあれば法廷で聞く」と着の身着のままで逮捕され、そのまま教会に連行され、異端審問にかけられることに。
教会に連行された彼女は、衣服をすべて剥ぎ取られて全裸にさせられた。暗く寒い地下牢に入れられ、重く冷たい鉄の枷を嵌められ、鎖で牢に繋がれた。そして次の日から異端審問が開始され…連日、裁判とは名ばかりの理不尽な審問と…火責め水責めの容赦のない拷問にかけられる。
「手ぬるい!腹が張り裂けるまでつぎ込め!」
少女は全裸で仰向けにされ、手足を大きく広げて引き伸ばされた状態で固定されている。背中には台があてがわれ、手首と足首には金属製の手枷足枷を嵌められ、鎖に繋がれている。教会の地下で連日行なわれる異端審問。答えようのない尋問に言い淀むと、巨大な漏斗を口に差し込まれ、バケツで用意された大量の水を無理矢理注ぎ込まれる。鎖で繋がれ限界まで引き伸ばされた裸身をなすすべもなく悶えさせる少女の足元には、剥ぎ取られた服…すでにぼろぼろにされて衣服の役をなさなくなった布のかたまりがぼろ切れのように捨てられていた。
来る日も来る日も執拗に繰り返される拷問…ついには力尽きて自分は魔女だと嘘の自白をしてしまう。そして少女は、魔女として火刑…つまり火炙りに…。
***
中世ヨーロッパの「魔女狩り」を知ったのは中学生の頃でした。
初めて見たのは世界史の学習漫画で見たジャンヌ・ダルクの火刑のシーン。それをきっかけに、中世ヨーロッパの異端審問を知り、魔女狩り、拷問、そして火刑つまり火炙りの刑…、興味を抱くままに図書館の本などで調べました。その頃すでに知っていた三角木馬などの日本の拷問とともに、幼いながらも心を奪われ、思春期の私の性癖に大きな影響を及ぼしました。
決定的だったのは、魔女狩りを見事に描いたある作品との出会いです。それは兄の部屋の本棚から借りて読んだある漫画作品(誰もが知っている漫画家の少しマイナーな作品です)に描かれた魔女狩り…。素朴に神様を信じ、日々の恵みに感謝して慎ましく生きる無垢な少女が、ある日突然、魔女の疑いをかけられ、異端審問にかけられ…拷問にかけられて最後には魔女として火炙りにされるまでが見事に描かれていました。
密告により魔女の疑いをかけられて逮捕された少女は、着の身着のままで教会に連行され、教会の地下の牢で裸にされて鎖に繋がれます。そして裁判とは名ばかりのまったく身に覚えのない理不尽な審問を繰り返され、彼女はただただ否定するしかできません…。罪を認めない彼女は、拷問を宣告され、あの手この手の容赦のない残酷な拷問にかけられます。そしてついに力尽きた彼女は自分は魔女だと嘘の自白をしてしまい、最後には衆目の広場の処刑台に鎖で縛られて火刑…火炙りの刑にされてしまいます。
そんな哀れな少女が捕らえられ、裸にされて拷問にかけられ、火炙りの刑にかけられるまでを、誰もが知っている可愛らしい絵柄で描かれたその作品…当時中学生の私にとってはあまりに衝撃的でした…。
「何も悪いことなんてしていないのに死刑だなんて、そんなむごいこと神さまがおゆるしにならないわ」
嘘の告発で魔女狩りで捕らえられ処刑されるから早く逃げてという警告にも、笑顔でそう語る少女…。やがてほどなく警告通り彼女は捕らえられ、暗く寒い地下牢で鎖に繋がれ、異端審問と称した拷問にかけられます。
「嘘です!私…魔法なんて使ったことありません!」
「申し開きがあれば法廷で聞く」
彼女が連行されたのは、日々神様に祈りと感謝をささげている慈愛に満ちた優しい光の溢れる教会…の地下の異端審問室。
着の身着のままで捕らえられ連行された少女は、衣服は脱がされ下着は切り刻まれて全裸にされ、鎖に繋がれます。陽も差さない教会の地下の審問室でこれから連日、理不尽な審問と容赦のない残酷な拷問にかけられるのです。
様々な拷問器具であの手この手の拷問にかけられる少女…。
少女の無実の訴えの叫びと悲鳴は地下の審問室の上の教会…優しい光に包まれて日々の感謝と祈りをささげる人々の耳に届くことはありません…。
暗い地下の審問室で来る日も来る日もまだ幼さを残す大人になりかけの全裸を、鎖に繋がれたまま弄ばれ、いたぶられ続ける少女…ついに力尽きた少女は諦めにも似た表情でつぶやきます。
「ま、魔女です…わたし…」
セリーヌにかけられた重い鉄の鎖がはずされ、少女がふたたび太陽の光を浴びることができたのは…衆目の広場に設置された処刑台に昇る日でした。果てしない審問と拷問で魔女と自白させられた少女は、刑罰として全裸のまま広場の処刑台に拘束されて三日三晩晒されたのちに、火炙りの刑にかけられ処刑されたのです。
「祈るがよい…罪深き者よ」
火刑台に鎖で繋がれた処刑前のセリーヌに教会の神父が囁きます。
「…私は…無実です…」
火刑台に繋がれたままセリーヌが最期にか細い声で発した訴えは誰にも届くことはありませんでした。
「火をかけい!」
広場に設置された処刑台の周りの薪に火をかけられ…。
この作品で「魔女狩り」を知った当時中学生の私は、図書館に通っては歴史の本、特に拷問や処刑、魔女狩りや異端審問についての本を探しては読むようになりました。魔女狩りで実際に行われた拷問、魔女として捕えられ拷問にかけられた女性の異端審問や牢での扱いなどの説明や描写を探し、見つけては図書館の書架の陰でひそかに昂奮を覚えていました。静寂に包まれた図書館で周囲に誰もいないことを確認した書架の前で密かに秘所を湿らせながらページをめくり、かつて魔女として拷問され、処刑された哀れな女性たちに想いを馳せ、自分が拷問にかけられ火炙りの刑にかけられるのを妄想していました。
兄の部屋の本棚に並んだ1冊の本。何度も何度も読み返し、自らも同じように拷問にかけられたいと叶わぬ憧れを馳せ続けた少女セリーヌ…今でも本棚にそっと並んでいます。
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