見出し画像

【ジャズ】ジャズ・アベンジャーズ

今回ご紹介するのは、REDMAN MEHLDAU MCBRIDE BLADE 2020年7月発売の'Round Again'です。

タイトルにジャズ・アベンジャーズと書きましたが、どういうことでしょうか。

アベンジャーズとは言わずと知れたMARVELのスーパーヒーロー達が世界を滅亡の危機から守るために結成する最強チームのことです。

アイアンマン、キャプテンアメリカ、ハルク…
一人で一本の映画になる主役級を一気に投入するスペシャル企画。

この'Round Again'のメンバー(下記)はまさにジャズ界のアベンジャーズなのです。

Joshua Redman ジョシュア・レッドマン(T.Sax,S.Sax テナーサックス、ソプラノサックス)
Brad Mehldau ブラッド・メルドー(Pf ピアノ)
Christian McBride クリスチャン・マクブライド(Ba ベース)
Brian Blade ブライアン・ブレイド(Dr ドラム)

全員がそれぞれの楽器界で世界最高峰と謳われる名手です。
さらに、それぞれバンドリーダーとして世界各国を飛び回っています。
サックスやピアノであれば理解は簡単ですが、ベースやドラムもリーダーなのか、と質問が飛びそうですね。
ベースのクリスチャン・マクブライドもドラムのブライアン・ブレイドも多忙を極めるサイドマン活動の中、自身のリーダー作を次々と世に送り出しています。

🌟まさにジャズヒーローのアベンジャーズ!

こういった企画物、とりわけ彼らのような引く手あまたのミュージシャンを集めたアルバムは概してスタンダード曲を多用したセッション色が強くなります。
個人技術は素晴らしいけれど、バンドとしては一体感がないケースが往々にしてあります。

このアルバムは異なります。

まず、曲が素晴らしい。
全てメンバーが書いたオリジナル曲。
全員が一曲以上を提供しています。
アレンジ(キメや展開)も練られていて、何度聴いても飽きが来ません。

さらに、音の調和が美しい。
難しいキメや拍子も、一糸乱れぬサウンドでさらりとやってのけています。
ジョシュアのソロ中にあるちょっとウィットに富んだフレーズにもブライアンがドラムで反応したり、テナーサックスとベースがハーモニーを形成した珍しいメロディーがあったりと、ところどころ意表を突いた組合せがあるのも実に面白いです。
メンバーの多忙さから推察するに、リハーサル回数は一、二回なのではないかと思いますが、驚嘆に値する完成度です。

このような芸当ができるのは、過去に彼らがレギュラーバンドを組んでいた、ということが大きいと考えられます。

90年代半ば、若手だった彼らはジョシュアをリーダーとしたカルテットを結成していました。

1994年のアルバム'MoodSwing'では、当時の彼らの演奏を聴くことができます。


出典:Wikipedia

いかにもニューヨーク!という洗練された都会的なサウンドと実力の高さが滴り落ちる艶のある演奏が最高のアルバム


この後、メンバーはそれぞれの活動が多くなり、一堂に会することはなくなります。

'Round Again'のアルバムタイトル通り、四半世紀ぶりの古巣バンド再結成といったところでしょうか。
ポテトチップスを摘みながら、若い頃の思い出話を楽しそうに語り合う、そんな心地良さが随所に漂っています。

興味を持って頂いた方は、是非お聴きになって下さい。

お忙しい中、最後までお読み頂き、ありがとうございました。

また読みたいな、と思って頂けた方は「すき」ボタンとフォローを是非宜しくお願いいたします。

#jazz #ジャズ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?