私は格好つけだ

先日、ホームの階段を降りていると、キャリーバックをもった70代くらいの女性が階段を下っていた。おばあちゃんは腰をさすりながら、キャリーバッグを運んでいた。私はおばあちゃんのもとに近づいて、荷物を持ってあげようと思った。

しかし、私は動けなかった。周りのひとに善人だと思われたいと期待する自分に気が付き、そんな自分が嫌になったからである。本来であれば、重たい荷物に喘ぐおばあちゃんを助ける一心で動くべきだ。しかし、そのような純粋な気持ちよりも、つまらない承認欲求が頭の中を駆け巡った。そのことに気持ち悪さを覚え、荷物を持とうとするのをためらってしまった。

結局、後ろを歩いていた若い女性がおばあちゃんのキャリーケースを持ちますよと声をかけていた。おばあちゃんは「ありがとう、助かるわ」と心底嬉しそうな様子だった。その様子を見ていると、私も声をかければよかったなと後悔した。同時に「偽善者ぶろうとするなよ」と自己嫌悪にも陥った。

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