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やわらかく、生きる


あいまいな表現も悪くない
おいまいさは論理と対立するものではなくて、一種の論理であることを承認できるようになるには、社会が言語的にある成熟に達していなくてはならない。
明晰な表現のあらわす論理が単線であるとするならば、あいまいな表現で伝える論理は複線で、また、いたるところで点線状になっていると考えてよい。
『日本語の論理』

「やわらかく、考える。」外山滋比古さん

「あいまいさは論理と対立するものではない」

ことビジネスにおいては、
明快さ、ロジカル、端的であり解像度が
求められるし、
「あいまいさ」は、
考える努力不足、能力の低さと見られる。

同じ土俵に乗せるとそうなるので、
「あいまいという論理、土俵」をつくればいい

なるほど!

複線的な、伏線的な、
思考の広がりにもなるし、
なによりも思考したり対話したりする
「楽しみ」は、あいまいさの中にこそある。


言葉だけが考える道具ではない
思考の言葉は、普通の言葉だけではない。もっと広く解して、およそ体系をもっている記号はすべて言葉と考えるのである。
そうしてみると、言語のほかに言葉的なものがいくらも存在することに気づくであろう。
『日本語の論理』

同上


東京オリンピックで話題になった、
「ピクトグラム」もそう。

道路標識も好き。
国内も面白いけど、
海外の道路標識は新鮮。

あと、車のナンバープレートの
4桁は最近選べるようになったので、
「この4桁の数字に込めた想い」を
想像するのが好き。

「言葉だけで思考しない」ことで、
言葉の思考が深まる。

「ウソはいけない」と早まらない
ことばはウソが言えないといけない。ウソなど言えない方がいいにきまっている、と道徳家はいきまくかもしれないが、早まってはいけない。
他人に迷惑を及ぼすようなウソが反社会的でよろしくないのはもちろんである。
ただ、ときとして、そういうよくないウソがあるからといって、言語の虚構性そのものまで否定するようなことがあっては大変である。
『読書の方法』

同上


とかく、「早まりがち」な現代。
ビジネスにおいても、SNSな生活においても。

「言葉の虚構性そのものまで否定しない」

あたまから即、全否定しない。
「あいまいさ」や「記号」のような
言葉の余白、思考の余白を、
正義や論理だけで奪われてしまうと、
読む楽しみ、書く楽しみ、
生きる楽しみさえも奪われてしまう。

ウソはいけないと早まる窮屈な世界。

文学作品はウソの結晶
広く人間の文化は、いわば美しいウソである。もうすこし限定して言うならば、文学的フィクションとはまさに、美しいウソそのものである。
文芸が古来、くりかえし、社会から反道徳的、反良俗的という非難を受けてきたという歴史は、言語芸術がいわゆる困ったウソと同じ根をもっていることを暗示するように思われる。
『読書の方法』

同上


美しいウソと、きたないウソがある。

エッセイを書いたり、
小説を書こうとすると、
その書こうとする記憶の曖昧さや、
現実と理想が入り混じる中で、
フィクションかノンフィクションかは
あいまいになっていく。

そのあいまいさは、善。
創造する営み。

曖昧な文章のほうが面白い
起伏のある表現で読者の興味を惹きつけるには、いくらか論理が飛躍したとしても、飛躍の空白を作ったほうがいいのです。
耳に心地よい言葉を並べた美文調の名文は、実のところ、むしろ平面的で浅いものになり、陳腐となりかねません。
読者が「おや?」と引っかかりを感じる曖昧な文章のほうが、多元的な刺激があって面白いと感じるものです。
そういう散文は、芸術性の点で詩と変わるところがありません。
『考えるとはどういうことか』

同上

「ひっかかり」は、
明快さ、ロジカル、端的、だけでは生まれない

「おや?」というのは、
ノンフィクションの鋭さや深さだけでなく、
フィクションによる想像からくる、
斬新さ、奇怪さ、歪さのなかにある。


ビジネスとアート(芸術や文学)は、
そもそも、別、と考えれば楽だし無用な議論。
かもしれないですが、
どちらも生きること、と思えば、
同じ土俵においてみて、やわらかく考えてみる


毎日、書く
文章料理の上達には、休まないことだ。毎日つくる。つまり毎日書く。
そういう連続の中から、その人でなくては出せない味、スタイルがおのずと生まれてくる。毎日書いていれば、ある程度まではうまくなる。
それで上達しなければよほど神から見放されているのだとあきらめる。
『ことばの教養』

同上

そしてきょうも、休まず書く。
noteがあって、よかった。
読者の方がいてくださって、ありがたい。

やわらかく、考える。
やわらかく、書く。
やわらかく、生きる。

今日もお読みいただきありがとうございます

やわらかく泳ぐジンベエザメと、
寄り添うマンタ。

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