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10年ぶりの渋谷

久しぶりに渋谷に行ってきた。僕は10数年前まで東京に住んでいたが、その頃ですら頻繁には行かなかった街だ。あまり親近感が持てない街と言う印象を持っている。今までに30回くらいしか渋谷駅で降りた事がないと思う。池袋駅なんかは5000回以上利用しているはずなので、かなり訪問回数は少ない。10年以上ぶりの訪問となる。

今回渋谷に行ったのはOpenAI社が行っているWorldCoinのベーシックインカム実験のようなものに参加するためで、渋谷にある拠点で目の虹彩情報を登録する必要があったからだ。
怪しげなことに参加してると思われるだろうし、まんまと騙されている感があるのは承知している。リスク承知の上でサム・アルトマンに目のデータを売り渡したのだ。将来全資産を人質に取られてAIの奴隷になるかもしれないが、まぁ今回その話はどうでもいい。

改札を出て、スクランブル交差点に出て驚いた。僕が知っている、あのいけ好かない渋谷の街ではなくなっていた。
まず日本人が少ない。ギャルもおしゃれに熱心な大学生も見当たらない。世界中のあらゆる人種の海外旅行客ばかりだ。皆こぞって交差点を撮影している。
渋谷のスクランブル交差点は世界でもっとも有名な交差点と言われているらしく、完全に観光スポットになっていた。確かに一回の青信号で千人以上が一気に交差するのは見物するに値するかもしれない。

人だけでなく、街並みも以前とは大きく異なっていた。アニメやVtuberの看板が非常に多く、20年前の秋葉原、10年前の池袋サンシャイン通りを想起する街になっていた。オタク文化は今や数少なくなりつつある日本の売りなのだ。それを一瞬で理解させられた。あの渋谷がこんな風になるなんて信じられない。
料理店とオタク文化、ファッション関連店。そういう街になっていた。少なくともハチ公周辺はそうなっていた。

目的のビルはスクランブル交差点のすぐ横のmagnetという商業施設。ここなんか中の店舗は90%がアニメ関係の店だった。ここ昔は確かTSUTAYAが入っていたビルだったか、109メンズ館だったか。もはや自分が渋谷にいることを忘れてしまいそうだった。今はこのビル丸ごとゲーム実況配信Vtuberグループとのコラボ中だった。
肝心の用事は5分程度で終わった。

少しだけ渋谷を散策してみた。まだ自由だった頃に行った香港に似てる気がする。看板のフォントなどもミックスアジア風にしている気がする。サイバーパンク感を意図して演出しているのもわかる。
裏通りを歩くとドブの匂いがした。この匂いは昔も嗅いだことがある。そこは変わってないんだなと思った。
東京に住んでいた頃、渋谷と言えばたいていBunkamuraに行くのが目的だったのだが、そのBunkamuraも今は長期休館中だった。昔友人と訪れた「塩とたばこの博物館」もなくなっていた。墨田区に移転したそうだ。
以前はボロビルばかりだった辺りも完全に再開発が進んでおり、新しく建っていたスクランブルスクエアは百貨店のようで百貨店ではない巨大商業施設だった。疲れたし、せっかくの珍しい機会なので12階でお高いアラビア料理を食べた。隣のテーブルにはたいそう美しい中東系のお客さん3人連れ。皆アニメ柄の紙袋を携えていた。

東京は変化が激しい街だ。特に渋谷なんかはそうなのだろう。10年見なければこんなに変わる。でも全体的に好ましい変化だと思った。しゃらくささは薄れていた。
帰宅後、スクランブル交差点を撮影した動画をVRChatで知り合った海外の友人たちに見せた。全く違う国々の若者たちが「Shibuya!」「Sakura!」「The Girl Who Leapt Through Time」と言う反応をしてくれた。ほんとうに世界一有名な交差点なのかもしれない。
渋谷に次に行くのはまた10年後くらいだろう。その時はどう変化しているか楽しみだ。


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