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子どものパワー

声紋の波形を、
どんどん拡大していくと、
画面の中に、
朽ちて錆びた、
巨大な鉄の扉が映る。
鍵が壊れていて、
もう二度と開くことはないだろう、
死んだ扉だった。

そこへ、
子どもがやって来る。
風船ガムを膨らませながら、
あの扉にデタラメな落書きを始め、
面白半分に、
扉を開けてしまった。
開けっぱなしになった、
巨大な鉄の扉を、
私はしばらく見ている。
どうして、
子どものパワーで、
あの扉が開いたのだろうか。
この声紋は、
誰のものだか分からないが、
喋り声ではなさそうだな。
人迷惑なくらいの、
気持ちの良い歌に違いない。

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