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エロスだなあ

草木の香りが強くなった。
酒も飲まずに、
春はもう宴である。
うちの庭の草木の香りに、
しばらく立ち尽くす。
いやらしくないが、
この香りは、
エロスであるのは確かだった。
私の中に、
忘れ去られた何かが、
草木のエロスの誘惑に蘇る気がする。
まるで忘れ物のようにそれはある。
果たして、
その忘れ物が自分の代だけのものなのか、
それは分からない。
ああ、何代にもわたって、
草木のエロスは悩ましいのか。
私は私の欲情を、
少し見直してみる必要があるのかもしれない。
まあ、しかしエッチだなあと、
春の風にざわめく草木に、
私は、少し困った。

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