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日本的雇用慣行の変化

 日本的雇用慣行の三本柱とは、「終身雇用」「年功序列型賃金」「企業別労働組合」である。終身雇用とは、新卒者が企業に採用され、原則として定年になるまで同じ企業で働くという就業形態である。年功序列型賃金とは、年齢や勤続年数に応じて平均的な賃金が上昇するというものである。企業別労働組合とは、一つの企業の従業員を一つの労働組合にしたものであり、ホワイトカラーとブルーカラーの労働者が同一の労働組合に所属することが大きな特徴である。

終身雇用

 終身雇用について、労働者側にとっては安定して一つの企業に勤めることができるというメリットがあり、雇用者側から見ても、長期的な視点で自社に合った人材を育成できるというメリットがある。一方で、雇用者側のデメリットとしては人件費の調整が難しいという点があり、実際に1990年代のバブル崩壊以降、人件費を維持することが企業にとって難しくなってきている。近年多くの企業が、定年を60歳としているにもかかわらず、業績悪化により早期退職や希望退職を募るようになってきている。トヨタの豊田社長が「終身雇用は難しい」と発言したことも記憶に新しい。終身雇用が完全になくなったとは言えないが、終身雇用は、業績が右肩上がりに成長するとという高度成長を前提とした雇用形態であることから、高い経済成長が見込めない現在においては大企業を含め多くの日本企業において存続が困難になってきている。

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