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実践編②:下肢の緊張が低い方への立位〜歩行への臨床推論の実際(動画あり)

前回記事、

の続きとなります!

立位、そして歩行を少しでも良くしたい!

そして歩行に必要な要素は立位にも共通している部分も多いため、
良い歩行の獲得のためには、良い立位の獲得が大事

だと私は考えています。


でも、実際にどんな臨床展開をしてるの?というのが悩み所なわけですよね。

私もそうでした。教科書読んでも理屈は書いてあるけど、結局どうやってやるのかは分からずじまい。

ということで、
最近は課題ごとにツイッターでアップしております。

小松はこんな風に介入しているんだな、と。


ただ、

ただ、

ただですよ!


「じゃあ脳卒中の人にこれやったら良いんだ!!!」

ってわけじゃないですよ。


もちろん変化の出る人もいます。でも出ない人や、悪いパターンが出現・助長してしまう方もいるはずです。


どんな介入でも、私が意識しているのは、
患者さんにとって(主観的に)良い体験だと認識でき、かつ再現できるか?
私から見ても(客観的に)運動学的に無理がなく、患側が参加していて、他のADLにも良い影響を与えるパターンであるか?

に運動のパターンが変化しているかを基準にしています。

患者さんが「良い」だけでも、セラピストが「良い」と思うだけでもダメですね。

セミナーでも、「良い立ち方って何ですか?」と参加者さんに聞くと、たまに
患者さんが安心できる」なんて意見が出ます。

分かります。
非常に分かります。

私も若き頃はそう思ってましたし、今でも患者さんの主観的な声は大切にしたいので「患者さんが安心できなくても良い」とは思いません。

でも、患者さんが「良い」と言っていたとしても、
非麻痺側優位で立ってしまっていたら?
麻痺側上肢が過緊張だったら?

今後、麻痺側の機能向上につながったり、ADLが拡大するでしょうか?

麻痺側下肢の機能は動いている割には向上せず、上肢が硬くなれば更衣動作もだんだんやりにくくなるかもしれませんよね。

だから私たちは、毎日の介入、その日の介入の1つ1つの課題での変化の意味や理由を考え、そしてそれが患者さん自身の主観的な要因、セラピストが評価する客観的な要因という双方向の視点から、考え続ける必要があります。


立位姿勢の客観的評価:前回記事の復習

画像1

ではまず上図の左側、介入前の立位姿勢の評価です。

写真だけだと服の加減などで把握しにくいのでイラストにします↓

画像2

・骨盤は右下制(または左挙上)
・右股関節:外転・外旋
・左股関節:内転・内旋
・左膝過伸展
・両下腿外旋:右に比べ左下肢の方が下腿外旋が強い
・足部内反:左下肢の方が強い
となります。細かな評価プロセスは前回記事で!!

今回は麻痺側の左下肢を中心に見ていきましょう。

左下肢のアライメントをまとめると、
・骨盤は左挙上・左に引けている
・左股屈曲・内転・内旋
・左膝過伸展
・左下腿外旋
・左足底屈・内反

となります。

この方の立位での訴えは、
右脚と左脚は全然別物
左脚は体重をかけられるけどグラグラ

この方は仕事もされており、オルトップ着用にて杖なしで自立されています。

が、立位や歩行では、上図のような姿勢になり、立位での左脚荷重時や、歩行での立脚期には急激な外反動揺が出現します↓

介入当初の歩行

歩けてはいますが、膝の痛みが心配になる歩容ですよね…。

ご本人もグラつきを感じているので、グラつきを1つのキーワードに介入していきます。

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