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深城橋(上路アーチ橋)の耐震補強を拝見

 深城橋は国道139号(静岡県富士市~東京都奥多摩町)の山梨県の山間部にあります。近くには深城ダムがあります。
 耐候性鋼材を使用した上路アーチ橋であり、1995年竣工(おそらくH2道示)であったこと、またおそらくは緊急輸送路としての整備として、すでに耐震補強が実施されているのではないかと思います。

 大月側より進むと、橋を渡る手前に旧道っぽい道があり、さらにはこの道がアーチ下へと延びていましたので、見学には好適でした。
 まずはアーチリブに着目すると、アーチリブ本体への当て板補強はなさそうでした。アーチのピン支承周辺の主構面への斜材の追加、そしてアーチ間を結ぶ下横構および垂直材の間には座屈拘束ブレースが設置されています。一部のGuss PLが残っているので、順序だてて取り替えていったのでしょう。主構面への取付では、おそらくボルト本数の関係でGuss PLが交換されているのがわかります。

ピン支承上方付近 上揚力対策工と座屈拘束ブレースによる斜材設置
アーチリブおよび垂直材に設置されている座屈拘束ブレース
補剛桁 当て板補強あり
補剛桁下側より クラウン部に近づくにつれ、当て板補強されています

 ピン支承部には上揚力対策工は設置されていないようです。
 逸脱時の段差防止工ですかね?

ピン支承部

 桁端部では、縁端拡幅を設置しての上揚力対策工と水平力分担構造の設置のようです。

縁端拡幅と上揚力対策工・水平力分担構造

 追設された耐震補強部材は塗装部材ですが、耐候性鋼材の色とほど良くマッチしており、違和感を感じなかったです。

 それにしても、温度変化の伸び縮みの影響が大きいアーチ橋で、現場で精度良く組んでいくご苦労もあったのではないかと思います。勉強になる良い機会でした。

アーチリブに追加設置されたGuss PL