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国道41号(岐阜)吉ヶ原橋 耐震補強を拝見

 国道41号を富山から岐阜方面に進むと、カーブの先に青いトラス橋が見えてきました。吉ヶ原橋です。
 側径間は鈑桁のようでして、なんとなく鉄道橋の配置の雰囲気を感じます。(これは個人的な印象です)
 それにしても上路トラスの支点部について、①支点から斜材が伸びる場合と、②吉ヶ原橋のように支点部には垂直材と下限材のみ(斜材は端支点の上弦材から次の格点へ)となっているパターンがあります。①のケースでは端支点の垂直材の断面積が小さく、また材質が1ランク下がっている場合があり、補強・補剛などの際に悩みのタネになりますね。
 そんなことを思いながら、望遠レンズ越しに見てみると、支承取替の補強材的なものは見当たらない?様子で、ブレースの置き換えやか現在の当て板補強、横変位拘束構造が設置されています。

支点付近の耐震補強
添接部のバイパス構造

 添接部にはバイパス構造が設置されています。断面力の流れと添接面のとらえ方で、断面力が大きくなるといささか苦しくなる設計箇所ですが、きれいにまとまっています。既設の添接板との隙間については、こちらはおそらく充填タイプ。塗装塗替えの支点で既設部との離隔をとる話になる場合には大掛かりになります。個人的には水切りの勾配を付けるべきか?と思うのですが、意図的に作るように言われたことはないです。
 落橋防止のPCケーブルの上部工ブラケット部は当て板補強の範囲と重複しているので、現場では苦労されたのではないかと思います。
 さて、反対側の支点に目を向けると、段差防止構造が設置されていることもわかります。
 側径間の鈑桁の支点は、トラスの垂直材からアゴを出して載せています。知見がないですが、動的解析のモデル化とアウトプット(垂直材の曲げ評価)って、どんな感じなのだろう?
 現地で感じていたすっきり感は、おそらく側径間の鈑桁部の支承がトラスのアゴに載せるタイプなので、中間橋脚にパラペットがないことが理由だと思います。


 落橋防止の下部工ブラケットのアンカーボルトの位置は、やはり現場削孔に合わせる必要があり、きれいには並びません。削孔位置に合わせて設計の確認を行いますが、詳細設計時の応力度が許容値ギリギリだとアウトになる場合もなくはないです。少し余裕を持たせておくほうが良いと感じています。写真の場合には、おそらく全引張になりますが、支承取替の下部工ブラケットのように、RC断面としての設計となる場合には、応力度に余裕がないとちょっとシビアかも・・・と、何かを思い出しつつ。
 あ、思い出したついでですが、ときどきRC断面で複鉄筋断面で計算している事例を見かけますが、モデル化として合わないので設計計算としては、、、とここまでにして。

 話は吉ヶ原橋に話は戻りまして。
 耐震補強がシンプルにきれいにまとまっていると感じる橋でした。

反対側の支点の耐震補強

 吉ヶ原橋の資料は瀧上工業さんのサイトにあります。勉強になりました。