裏町の大衆中華[新大蓮]のチーフ 第1章 その③
まだバブル前の1980年頃。人と人が擦れあうようにして生きていたあの頃。その頃の僕の目には、大阪の中心街が途轍もなく眩しく見えていた。街には嘘や憎しみ、別れなどの溢れんばかりの悲劇もあったが、それに負けないだけの喜びもまたあった。
それに比べて、大阪郊外の北摂、茨木市の町外れに佇む[北京料理 新大蓮]は、そんな都心の華やかさとは全く無縁だった。
これは、そんな町外れの小さな大衆中華店で繰り広げられた、いつもロンピーを燻らせたニヤケ顔のチーフとの、垢ぬけなく泥臭い想い出話