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あの日のタイトルから生まれた物語

2012年1月1日。当時、野球少年だった自分は天皇杯の決勝をテレビで見ていた。Jリーグについては、どこのチームが強いのかをネットで確認していた程度。特にJリーグが好きだったわけではない。天皇杯決勝を見ていた理由も「地上波でやっていたから」くらいの感覚だったと思う。その大会でFC東京が優勝した。もちろんそのとき、同チームには思入れも何もない。ただ、「なんかこのチーム面白いな」と感じた。このなんでもない小さなきっかけが、自分の人生を大きく変えることになる。



なんとなくFC東京というチームを気にかけ始め、テレビ観戦、スタジアム観戦と少しずつ段階を踏みながら、気づけばFC東京が日常にあった。もっと言えば、“中心にあった”と言っても過言ではないかもしれない。2015年ころから年間チケットを取り、ホームゲームはほぼ全試合行くようになったと記憶している。このころからいわゆる“サポーター”としての応援が始まった。



そして迎えた2021年1月。ルヴァンカップ決勝。毎年、カップ戦の決勝をテレビで見るたび、「来年こそは決勝でFC東京の試合を見たい」と思い続けたあの決勝戦。個人的には初めての決勝戦でもある。

入場のアンセムで心が震えたのもつかの間、90分の戦いを終え、FC東京はカップを掲げた。

12年の元日に見たタイトル獲得とはわけが違う。“視聴者”ではなく“サポーター”として初めて獲ったタイトルだ。


リーグ優勝に迫りながらも、目の前で横浜F・マリノスの優勝を見届けることになった19年の最終節。20年シーズンで圧倒的な強さを誇った川崎フロンターレとの死闘を制した準決勝。19年最終節の悔しさがあったからこその20年のルヴァンカップ準決勝・川崎戦であり、チームにはタイトルへ懸ける並々ならぬ思いがそこにはあった。

線で見たときに、ただの1試合ではなかったこの決勝。だからこそ、この優勝は感無量の自身初タイトルだった。



優勝という1つのゴールへたどり着いたが、それは同時に新時代へ向けたスタートでもある。

長谷川健太監督は「タイトルを獲らないとタイトルは集まってこない」と語った。今回のタイトルは、今後多くのタイトルを獲得するための一歩目にすぎない。

「FC東京を強くするためにもっともっと頑張っていきます」と話したのはキャプテンの東慶悟。

チームを代表する2人のリーダーは、すでに先を見据えている。



次に獲るタイトルは自分にとっては2つ目。もちろん、それが誰かにとっては初めてのタイトルになるだろう。

自分があの日のタイトルからサポーターになったように、今回のルヴァンカップ優勝が誰かのサポーター人生の始まりになればとてもうれしい。そしてその未来のサポーターたちと一緒に、タイトル獲得を喜び合えればもっとうれしい。

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