見出し画像

桜あれこれ(牛代の水目桜/蓮華寺池公園/金毘羅山緑地)

待ちわびた桜がほころびはじめた。平年より開花が遅れたのは、暖冬の影響があるらしい。桜の開花には暖かさが必要だが、振れ幅となる寒さも大切なのだ。とにもかくにも、浮かれ出るように花見へと繰り出した。

島田市、高架下で咲く桜(2024.3/30)

河原や公園だけでなく、街中のあらゆる場所に桜が植えられていることに気づく。山野の緑に溶けた桜もいいが、コンクリートのねずみ色に添えられた桜もこちらの目を引く。

島田市川根、牛代の水目桜(2024.4/1)

サムネ画像にもなっているのは牛代の水目桜。平日だが道路脇にはたくさんの車が止まっており、西は熊本、東は横浜まで県外ナンバーがずらりと並ぶ。三脚を立てたり、巨大なカメラを構えている人もいた。

茶畑の真ん中にそびえる樹齢三百年を越えるエドヒガンの姿は圧巻だ。朝夕異なる趣を見せるため、シーズン中はどの時間帯も混雑しているらしい。

藤枝市、蓮華寺池公園(2024.4/1)

続いて向かったのは藤枝市の蓮華寺池公園。池周りの小山は桜に包まれていた。このぶんだと週末は駐車場に車を止めることすら難しくなるだろう。

桜の山を離れたところから見るのもいいが、その中へ入っていくのもまた一興だ。日は傾き始め、すれ違う人も徐々に減っていく。山中まではライトアップされていないため、暮れきるまでのわずかな時間が勝負になる。

藤枝市、蓮華寺池公園(2024.4/1)

夕暮れの森の中に、淡い山吹から群青へと変わっていく空の境目に、幻想的な国の入口を感じる。静かな茂みと暗い小道に咲く花の色は際立ち、陽春の無邪気さは妖しい静寂へと変わる。木々の間から見える巨大な集合体となった桜は、周囲の空気まで薄桃色に染めているようだ。

藤枝市、金毘羅山緑地(2024.4/1)

蓮華寺池公園から瀬戸川方面に向かうと見えてくる金毘羅山緑地では、照明とぼんぼりに照らされた桜を見ることができる。白い照明に照らされているためか、例年よりも花びらの色がわずかに薄いように見えた。

普段なら人が通らない時間帯に大勢の人が歩いている。笑い声が響いている。途中にあるベンチではシートを広げて飲食している人もいる。みながみな、それぞれの形で桜を楽しんでいる。これだけ娯楽が増えた時代にお花見が廃れないところに桜の底力を感じた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?