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Mike Oldfield - Nuclear 和訳と感想

僕のブログの記事の再掲です 遊びに来てね

Mike Oldfieldの楽曲「Nuclear」について述べる。

MGS5 The phantom painのトレーラーで使われたこの楽曲。核爆弾の投下という、取り返しのつかないことをしてしまったことへの絶望、その核爆弾が自分を制御できずただ泣き叫ぶだけの子供として描写されている点などが叫び歌として非常に心に刺さる。ギターの荒ぶりもあり僕の大好きな要素がてんこ盛りの曲である。

以下の曲も聞いてみてほしい まあ何の音楽的関連性はないんだが・・・

音楽的関連性はないんだけども、テーマが子供という点が一致している。無邪気な子供と叫びの歌ってのは親和性が高いんだな。 この曲は個人的に石川浩司(たま)のだれも起きてこないよというタイトルで、夜誰もいない町で静かに少年が狂っていき、最後に叫び声をあげながら友達を起こそうとする歌である。プログレということで到底歌として受け入れられない人もいるだろうが、これもまたかなりの名曲だ。ブログでこのような「叫び歌」についてまとめているので読んでみてほしい。


このNuclearを記事に取り上げた理由はこの歌のメッセージが「当事者意識を持て」というものだったからだ。MGS5 The phantom painのトレーラーでも字幕が掲載されているのだが、それをそのまま何も考えず鵜吞みにしていては、結局他人事なのだ。当然ながらこの訳が一番正しい訳なんだと言うつもりなど毛頭ない。今回載せる訳はあくまでぶれぐま風の意訳であり、僕のこれまで得てきた経験や考え方が反映されているだけのことだ。ここでは多くは語らないが、WATCHMEN、この世界の片隅になど、核爆弾が関わるお話に自分は大きく影響を受けることが多い気がする。

Nuclear

Standing on the edge of the crater
Like the prophets once said
私はクレーターの縁に立っている
予言されていたことが起きてしまった

and the ashes are all cold now
No more bullets and the embers are dead
灰はもはや完全に冷たくなり
銃弾はもはや必要なく 温まるかがり火も消えてしまった(※1)

Whispers in the air tell the tales
Of the brothers gone
風の音しか聞こえず
死んだ戦友たちを思い起こさせる

Desolation, devastation
What a mess we made, when it all went wrong
破壊 荒廃
我々はなんてことをしてしまったのだろう 取り返しがつかなくなってから気付いた

Watching from the edge of the circus
For the games to begin
私はサーカステントの端で
ゲームが始まるのを見ていた

Gladiators draw their swords
form their ranks for Armageddon
兵士達が剣を抜き
アルマゲドンに備えて隊列を組んだ

I'm nuclear
I'm wild
I'm breaking up inside
私は核
誰とも繋がらない
内面はもう崩壊している(※2)

A heart of broken glass
Defiled
人間性は砕かれ
歪められてしまった(※3)

Deep inside
The abandoned child
私は核
誰からも見ぬふりをされた子供なんだ(※4)

Standing on the edge of the underworld
Looking at the abyss
私は死の淵に立って
奈落を覗き込んでいるだろう

and I'm hoping for some miracle
To breakout, to escape from all this
何か奇跡が起きて
この状況を救ってくれと祈っているだろう(※5)

Whispers in the air tell the tales
of a life that's gone
そして最後の命も消え(※6)
あとには風が吹いているだけだ

Desolation, devastation
What a mess we made, when it all went wrong
破壊 荒廃
大変なことをしてしまった もう取り返しはつかない

I'm nuclear
I'm wild
I'm breaking up inside
私は核
誰とも繋がらない
内面はもう崩壊している

A heart of broken glass
Defiled
人間性は砕かれ
歪められてしまった

Deep inside
The abandoned child
私は核
誰からも見ぬふりをされた子供なんだ

I'm nuclear
I'm wild
I'm breaking up inside
私は核
誰とも繋がらない
内面はもう崩壊している

A heart of broken glass
Defiled
人間性は砕かれ
歪められてしまった

Deep inside
The abandoned child
私は核
誰からも見ぬふりをされた子供なんだ

※1 銃弾は何に使われていたのか。当然ながら戦争である。その戦争を止めるために核爆弾が使われたのだろう。そのおかげで戦争は終わり、銃弾で殺しあう必要はなくなり、仲間と野営するかがり火も必要なくなったと解釈した。
※2 wildには様々な意味があるが、今回は文明や人のつながりを破壊するあってはいけない破壊兵器の歌なので、socialの反対語のイメージで訳語をあてた。その次の I'm breaking up inside は核分裂の様子を描写してるともとれるし、その次につづくように心が壊れていく様を描写してるともとれる。面白い表現である。
※3 この心は誰の心なのだろうか。「核」自身かそれとも人々か。単数なので恐らく核なのだろう。しかしこの歌において自分が感じるのは人類個人個人に核について考えろ、当事者になることから逃げるなというメッセージなので、この主体が誰かということは実はあまり関係がないような気もする。ちなみにこの訳語は大好きなWATCHMENで人類平和が達成された際にあるキャラクターが発するセリフである(映画版)。
※4 このabandonしている主体は誰か。核を遠巻きに見ている存在とは。恐らく我々人類だろう。強大な力を持つがその力の使い方を知らない無邪気な子供、それが核なのだ。我々はこの子供に正しい力の使い方を教えてやることから逃げてはならない(というメッセージだと解釈した)。※1のようにまさに原子の中心にあるものが「核」であるという構図も面白い。
※5, 6 歌詞1番、2番、3番があるが、これはそれぞれ現在過去未来を示していると思われる。核爆弾投下直後が現在である。落とす前は離れたところから対岸の火事を見る野次馬気分でいたのだ。そして3番で落とされた後はもう今更どうにもならないことに気付き絶望に打ちひしがれている。そしてとある一つの命(a life)も消えてしまった。この最後の状況でのa lifeとは何か。それは地上最後の命であるのだ。。。

そして最後に向けてギターの荒ぶりと公開の叫び声。最高の歌である。
Mike Oldfieldについても述べたかったがそれはまた今度。
前に書いた叫び歌のエントリーも参考にどうぞ。

"We knew the world would not be the same. A few people laughed, a few people cried, most people were silent. I remembered the line from the Hindu scripture, the Bhagavad-Gita. Vishnu is trying to persuade the Prince that he should do his duty and to impress him takes on his multi-armed form and says, "Now, I am become Death, the destroyer of worlds." I suppose we all thought that one way or another."
-J. Robert Oppenheimer, upon witnessing the world's first nuclear detonation. 太字部著者

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