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全ての婚活に悩む人へ〜この人を選ばなかったら。と思う朝を迎えるのは、ほんとに無理な話だ

20代後半の若かりしき頃、私はとても結婚したかった。

自分のスペックは決して高くはないが、見た目の若さと、周りの友人が皆そういう相手を求めていたから自然とスペックの高い男子との合コンを設定されたり、また設定したりした。

設定した合コンがいけてない相手だと、次の好条件の合コンには呼ばれないこともあった。
「その合コンは、都合悪くて参加できないわ」
そう言われたら、そういうことか。と考えた。

自分の環境がそういう評価にさらされているんだ。と感じることもあった。

都心にある家、ハイブランドのバック、高いワインのお店、隠れ家のような紹介性のレストラン、そこのガラスの床の下を泳ぐ魚達、360度全開になるリビングの広い窓、そこから見下ろす夜景、ラグジュアリーなホテル、立食ホームパーティー、知らない顔ばかりのホームパーティー、予約の取れないお店で出された魯山人の皿、

刺激的でこんなすごい世界もあるんだ。と思う体験もあった。

私はそれを特別なものや体験と感じたけど、
ただ提供されたものだったからね。
すごいけど、
自分が特別になれた訳じゃなかった。

このような体験は私のような年代の多くが体験していた。
カードバトルで、強いカードを見せ合うみたいなものだった。



誰かといい感じにはなるんだけど、最後の決め手でいつも分からなくなった。どうしても私はその相手じゃないといけないのか。

当たり前だと思う。常に私は手札のカードを複数持って、それを眺めていたんだから。

私のデート相手も同様に思えた。私のような考え、若さ、見た目の女性が玉子パックのようにきれいに並んでいて、そこの中からチョイスされていくようなきがした。

迷っていると、カードはどんどん有効期間が切れて行った。私も玉子やカードと同じで、消費されなければ、捨てられる。

そんな中ある人と何度かデートをして、キスを迫られたので、断ったところ、メールが来た。

「こないだ連れて行ったお店は、高級店で、あなたの着ていた白い服にはシミがあった。汚い格好で来ないでください。」

ああ、神様ごめんなさい。私無理してた。


私の着ている洋服は高いもんじゃなかったし、確かにシミが少しあった。その時は気づかなかったんだけどね。
一人暮らしで、都内で働いて自由なお金はそんなになかったし、持ってる物もみすぼらしかった。


私は自分が見えてなかったんだと、やっと気づいた。
そして、自分が欲しい物も、ぜんぜん方向違い。
周りの価値観が求めている物だけを見ていた。

それが、一番苦しかった時期。
自分がこの先どういう風に生きたいんだろう。何を幸せに感じるんだろう。
悩んで、人に相談して、泣いて、いろいろな感情と向き合って、とにかく苦しかった。


しばらくして、思ってもいない出会いがあった。
友達からは、
「結婚を考えたら、条件が合わない人じゃない」
と言われた。
まだ働いて1年目。かなり年下。
お金もぜんぜん持ってなさそう。
実際、割り勘。
お店も慣れてないのか、知らなそうなので、私が選ぶし、会計もなんなら私のほうがスマートにできた。

初めて、デートに誘われた時、
浅草に行ったんだけど、大学で浅草文化を勉強してたみたいで、
「浅草ロック座に行きたいんです」
と言われた。
あれ?それってストリップ劇場だったよな?と思いながら、私も曖昧だったから、1時間くらい一緒に探して、最後に辿り着いたら、おじさんにそこはストリップ劇場だと教えていただいた。

その時、見上げたポスターと入場料を書いた看板を見つめて、何とも言えないおかしさが込み上げてきたのを覚えてる。

それと、毎回着ている洋服に驚かされた。
二回目のデートの時、
奇抜な紫色のジャケットに茶色のパンツ、黒のベレー帽。コーデネィトもぐちゃぐちゃだったし、色の組み合わせがなんとも不自然だった。
「鮮やかな色だね。なんでその色にその色を合わせたの?」と何気なく聞いたら、
「僕、色盲なんです。色よく分からなくて。良かったら、洋服のコーデネィト教えてもらえますか?」

衝撃を受けた。
今まで頼り甲斐がある男性、教えてもらうことは多かったけど、こんな風に頼られたことが無かったから。

こんな風にお付き合いを初めてから、いろいろな体験をした。
手を繋いで、近所に買い物に行った時
「こんな風に手を繋いで買い物に行くのが夢だった」と言ってくれた。

彼が私に歳を聞いてきたのは、なんと付き合ってから2ヶ月後。
聞かれるまで、言わない私もこずるいけど。

「年齢はあんまり関係無いと思ったから」

その言葉はほんとうで、一年後に結婚して今がある。
14年たった今も変わらず時間のほとんどを2人で過ごしている。

私は病気になって、現在自宅療養中なんだけど、彼も在宅勤務にしているから、ずっと一緒。
今は彼は哲学とか言語学に興味を持っていて、よく2人で話したりする。
どこにも行けなくても、会話で歴史や思想や、時には宇宙のことまで妄想して語り合う。


時々、怖い夢を見る。

夢の内容はいつも同じ。

彼と出会う前、いろんな人に出会って、
いや、この人じゃない。他にわたしには誰かほんとうに必要な人がいたはず!

大抵はそこで起きる。実際涙を流している時もある。

起きて隣に彼が寝ている時の安心感!
ほっとして、嬉しくて、いつも抱きついてしまう。

人生の幸せで豊かな時間は、短く一瞬で過ぎてしまう。
歳を重ね、子供もできたし、病気もあるし、苦しみ涙する日もある。

人生は、少し悲しくて、オモロ、おかしい。

悲しい時、辛い時、
あの時、出会った頃の感情や体験が宝物のように私を元気づけてくれる。
何よりいつでも確実にクスッと笑える。

この人に出会わなかっら、選ばなかったら、選ばれなかったら、掴めなかったら、と思う朝を迎えるのは、ほんとに私には無理な話だ。

条件に捉われたら、一度それが自分のほんとうの求めるものか、考えてみて欲しい。
自分を見直すことになるから、とても苦しいけど、苦しんだ分、より広い視野が持てると思う。

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