スクリーンショット_2016-04-12_14.53.18

落車・落車・なぜ落車?

2016パリ〜ルーベがスタートから放送ということで、今まであまり見たことの少ないアタック合戦の凄まじさを感じた視聴者は少なくなかっただろう。

今年のパリ〜ルーベは右後ろからの追い風に押され、ハイスピードの展開となった。選手にとって一番苦しいこの追い風+横風は、スピードは速いわいい場所がないわ、コーナーが加わってレースの中で前から15人くらいの選手がやりたい放題のレースになる。

70kmにも及ぶアタック合戦の後、決まった逃げが16名。通常なら後ろの集団は淡々と追いかけながら、パヴェ手前の位置取りのみ集中する形になる。しかし、ほとんどのパヴェは乾いているものの、前日降った雨によって湿った場所が所々顔を覗かせる。

普段は冷静な判断ができる選手も、風の強い集団の中で足を使い、いっぱいいっぱいの状態でパヴェへの位置取り、そして悪路との戦いを強いられる。

そんな中、落車が頻発しいつ起きるかわからない状況の中レースは進んでいく。落車によって遅れたカンチェラーラ、サガンはハイペースで前方を追いかけるが、なかなか差は詰まらない。そんな中、最後のレースを迎えたカンチェラーラが落車してしまう。

落車の瞬間を見てみると、濡れたパヴェの手前で青いおじさんが身を乗り出して必要以上に選手に近寄って応援している。そして前方を走っていたジャイアントアルペシンの選手が向かって右によけながらぬかるみに入る。

2番手につけた選手も右にずらしたラインを中央に移した時、もともと中央を走っていたカンチェラーラが、タイヤが重なり(ハスって落車を避けた?)そうになったのを避け、右にラインをずらした。落車前カンチェラーラは道路の中央を走っていて、落車した右側には落ちる場所にいなかった。(トップ写真参照)前の選手を避け、右にそれたちょうどそこはヌルヌルの泥状態+ワダチが深い場所で、踏ん張った左足の力によって後輪がスリップ。

上半身は次の右足で踏む準備をしていたので、完全に逆方向にありそのまま落車となってしまった。

青いおじさんがどうの言う気はないが、選手は常にマージンを持って走っている。接触しないとわかっていても避けるのは、選手は100%に近いセーフティを求めているからだ。応援している側はそんなつもりはないだろうが、選手との温度差がある事は否めない。

パリ〜ルーベ、カンチェラーラの落車動画は21:30から

https://www.youtube.com/watch?v=plN8VCnxgWY

そしてこういった落車によって、選手として最高の1日を迎えたレースをどん底に落としてしまう事だってある。そして、私がカンチェラーラの動きと前の2名の動きを見た中で、そういった事を感じたが他の意見ももちろんあるだろう。

選手は年をとると若かった時のように判断して瞬間的に動く事も出来なくなってくる。カンチェらしくない落車と一言で片付けてしまえない私の想いが、この落車の真相を見てみたい。という欲求に駆られてしまった。

先頭集団にいたすべての選手がトラブルなく走っていたわけではない。小さな小さな動きをその選手の意思と作戦にすり合わせたコラムをこれからも書いていきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?