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自転車競技における作戦とは!

2010年のツールド沖縄だったか
無線が使えなくなって、状況判断が非常に難しいレースになることが予想されていた。
レースとは、当日走り始めてからではわからない集団の空気感というものがり、それをいち早く感じて本日の作戦を決めることが非常に大事かつ、スピードが求められる。

レースも中盤に差し掛かり、逃げ集団がいる中辺戸岬の近くで本日の献立(テーマ)が決まったのだ。
「難しく考えず、楽して勝とう!」
がレースのテーマとなった。この先何が起きるかわからない中、レースは手に取るようにわかることが選手にとってとても大事な感なのだ。

終盤、安部からカヌチャベイリゾートで逃げが決まる、晋一、伊丹、都貴、淳哉、和朗
チームからは2名が前に入る絶好の展開、後の集団はまとまらずタイム差が1分へと広がりつつある。
この時、集団にいたチームメイトの中島に集団先頭を引くように指示する。
「え!、佐野さんと和郎さんが乗っているのに、なんで引かなければいけないんですか?」

と聞かれたので、「タイム差を1分に保つように引いてくれ!」と指示を出す。
ここが味噌なのだ。
周りのチームはNIPPOが焦って、宮澤さんんを前にジョインさせたいから弾き始めた?か、この逃げは容認できない1?という否定的な味方になる。
実際は、1分ならその後の羽地ダムで私が、他のライバルを連れて行かなくても、前に追いつける算段だし
前の選手はNIPPOが2名入れて引かないってなんだよ!
が無線がない上に、チームカーが間に入れないから展開が意味不明になる

今までは、無線が当たり前だったから、意思疎通が瞬時にできていたことが裏目に出ることを見越して考え得た作戦なのだ
結果的に、楽して勝とう!が思いのほか伝わっていなかったこと
1分で上りに入る予定が、少し離れ過ぎてしまって、追いついた瞬間にアタックされて私がキレてしまった。

ただ、選手の考えの裏をつくということは、当たり前じゃない世界観を作ることによって、ヨーロッパ人ですら騙すことができるのだ。

この空振りによって、教科書にはない世界観が作り出せたことは間違いない。

そういうレースをしていくと、自分たちよりも強いヨーロッパ人に勝てる日本人が少しでも多く生まれてくると思う。


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