「ブランドの人柄や声色」が絆を深める
コロナ禍での生活環境は、なかなか希望の光が見えない状況が続いています。
気兼ねなく自由に外食をしたり、お酒を飲んだり、マスク無しで外出が出来るようになるのに後どれくらいかかるのだろうか。そんな想いを悶々と抱えながら毎日を過ごしている人も多いと思います。
内閣府が2021年6月に発表した『新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査』でも、「仕事の満足度」や「生活の楽しさ・おもしろさの満足度」といった項目で、感染症拡大後に満足度のポイントが下がっているという結果が出ています。
そうした状況の中で、少しでも毎日の生活をより豊かで、満足できるものにしようとする消費の傾向があります。
例えば、現在ペットを飼っている人の約20%が、2020年の第1回緊急事態宣言後にペットを迎えたなど、コロナ禍において”癒し”を求めて動物を飼い始めたり、植物を育て始めたりする人が増えています。
参考:株式会社クロス・マーケティング 『ペットに関する調査(2021年)』
生き物以外にも、パナソニックからお世話が必要なロボット『ニコボ』が登場するなど、”安らぎ”や”癒し”で心を満たしてくれるものを求める人が増えていると考えられます。
そんな世の中の空気感の中、消費者とブランドのコミュニケーションにおいても、商品の持つ物性的なベネフィットや機能・効果を訴求するだけでなく、情緒的なコミュニケーションや結びつきを強めていくことが求められていると考えられます。
そしてその際、重要になってくるのが「ブランドの人柄や声色」といった要素ではないでしょうか。
ブランドエクイティとしてこれらの要素までしっかりと作り込むことで、パッケージやプロモーションなど、幅広いタッチポイントで展開され、種類も多岐に渡るブランド活動が一貫したものとなります。
”ブランドらしさ”が一貫したものになると、その”ブランドらしさ”に共感した人がお気に入りとして選び続けてくれます。
まるで、人付き合いで関係性を築いていくように、様々なタッチポイントで”ブランドらしさ”に共感したユーザーのロイヤリティも高まっていくのです。
「ブランドの人柄や声色」までしっかり作り込むことで、消費者との強い絆を構築したブランドコミュニケーションの事例を紹介します。
【CASE 1】ゼスプリ キウイブラザーズ
「ブランドの人柄や声色」を重視したコミュニケーションによって、消費者との絆の構築に成功した最近の事例に、『ゼスプリ』の「キウイブラザーズ」があります。
CM総合研究所が発表した2020年のCM好感度ランキングで、作品別総合第1位を受賞したコミュニケーションは、ブランドを象徴するキャラクターがフックとなったケースです。
ゼスプリの課題は、世界的に見てもキウイの喫食率、消費量が日本は極端に少なく、味や栄養価に対する認知度も低いことでした。
キウイをもっと身近な存在にするために、そして消費者が様々な情報に囲まれている中で、キウイの内なる可能性をいかに魅力的に伝えていくために考えられたのが「キウイブラザーズ」というキウイの兄弟のキャラクターです。
グリーン、ゴールド、レッドと様々な品種があるキウイの個性を、三兄弟というキャラクターによって表現。キウイという存在を親しみやすく、馴染み深いものにしました。
そして、それだけではなく「ヘルシーは好きなことを楽しみながら」というブランドのコンセプトを、幅広い世代に親しまれるパーソナリティを持つ「キウイブラザーズ」が伝えるコミュニケーションも実施しています。
2021年公開の「ヘルシーは楽しもう」編では、ブラザーズたちが「ヘルシーは無理せず楽しみながらやるのがいいんだよ」「心が先に疲れちゃうよ」と歌っています。
コメント欄では「心が先に疲れちゃうよ、楽しみながらでいいんだよって認めてくれている気がしてゼスプリのCMを見るといつも泣きそうになる」「この仲間たちからは、元気がもらえて、心が癒される」といった投稿もあり、キウイの栄養や美味しさだけでなく、情緒的な価値も訴求することが出来ています。
参考:ゼスプリ インターナショナル ジャパン株式会社 ゼスプリキウイフルーツ公式サイト
【CASE 2】キットカット 隙間じかんのアーモンド&クランベリー
ネスレ日本株式会社から販売されている『キットカット 隙間じかんのアーモンド&クランベリー』も、”ブランドらしさ”を感じられるパーソナリティが、製品特徴だけでなく情緒的な価値も訴求している事例です。
外包装のパッケージには、様々な隙間時間にキットカットを食べて一息ついているイラストが描かれていたり、個包装のパッケージには「人は人、自分は自分ですよね」「見て見ぬ振りで乗り切ることもありますよね」といった毎日を頑張るユーザーの心を包み込むようなメッセージが書かれています。
キットカットはこの商品以外にも、ブランド全体として消費者の生活や心に寄り添ってあげるようなパーソナリティを発揮している活動を行っています。
公式ツイッターアカウントで実施された「#ねぇキットカット」は、毎日の仕事や家事、学校生活を頑張る中で、ちょっと聞いてほしいことをつぶやいてもらい、そんな人たちにキットカットをプレゼントした企画です。
「キットカットはちょっと頑張りたい時や元気を出したい時に、ふっと心を軽くしてくれたり寄り添ってくれるような存在」。そんなブランドパーソナリティの醸成がなされているのではないでしょうか。
参考:ネスレ日本株式会社 キットカット 隙間じかんのアーモンド&クランベリー リリース資料
まとめ
これらの
ケースには「ブランドの目的・意義がしっかりと設定されている」という共通点があります。
『ゼスプリ』は「キウイの魅力を伝え、もっと身近な存在にすること」。『キットカット』は「Have a break,Have a KitKat」に象徴される「ほっと一休みできるひと時を提供すること」。
このように「なぜこのブランドが存在するのか」といった意義や「ブランドが
達成したいことはどのようなことなのか」といった目的が明確に定まっていることで、それらを遂行するために最適だと考えられる人物像や声音を設定できるのです。
私たちも新ブランドの開発や、課題を抱える既存ブランドのリニューアルなど、日々、様々なプロジェクトに携わる中で、”Why”を大切にしています。
そのブランドが始まった時に大事にしていた想いや描いていたビジョンを、ブランドの歴史を深掘りしていくことで抽出したり、携わる人たちを集めてワークショップを開催し、ブランドの存在意義を考える、といったアプローチを実践しています。
消費者が沢山の選択肢に囲まれている昨今、「このブランドは私のためのもの」と感じてもらうためにブランドのパーソナリティはより重要な要素になっています。
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