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現行の資本主義体制の改善点を模索する②

 一昔前なら、「保護主義で経済を立て直す」という主張は笑い話にしかならなかった。しかしここ数年世界的にも、保護貿易政策を積極的に用いる動きが広まっている。今年はフランスのマクロン大統領までもが、保護主義へと舵を切った。
 
 こうした流れの発端はおそらくは、アメリカの「トランプ現象」「サンダース現象」だと思われる。これは「アメリカ人のグローバリゼーション疲れ」の表れなのだが、ラストベルトの出現からいって自由貿易のやりすぎに問題があったことに疑いはない。普通の常識があったらそう判断するだろう。もっとも、「だからといって保護貿易をしたら上手くいくとは限らない」という意見も、それなりに尊重すべきだ。しかしその一方で、「自由貿易をやりながら十分な再分配するつもりはないのに、保護貿易を認めないのは間違いだ」という意見もある。
 いつまでたっても再分配が不十分なら、保護貿易主義が台頭するのは自然の流れだろう。こんな状況を、「大衆併合的な指導者とその支持者たちが悪い!」と罵るのは横暴というものだ。しかも政府や財界は、「選挙中は保護主義的な政策を掲げなから、選挙に勝ったあとは公約を覆すのが正義だ!」と本気で考えている節がある。

 あの当時の石原伸晃TPP担当大臣は、「トランプ大統領はリアリストだがらTPP離脱を撤回してくれる」と期待していたらしい。また、日本の財界はトランプ政権に翻意を促してた。はっきりいってアメリカ人をバカにしすぎだろう。
 なんともうんざりさせられる話で、日本の政治家は一部を除いて、保護主義という言葉はとにかく嫌がる。彼らにその手の要望を述べる場合は、保護主義ではなく、「産業に対しては攻めだけでは守りの政策をもっと重視すべき」という方が受入やすいだろう。そこは地道に説得してくしかない。