見出し画像

エレファント・マン

2004年頃書いた映画感想文。

エレファント・マン

小学1年生の冬休みにテレビでこの映画を見た記憶があります。姉ちゃんが見ていたので一緒に見始めたんですが、冒頭の象に襲われるイメージシーンと、不気味な見世物小屋のシーンを見ただけで、僕はなんだか怖くなってしまいそこで見るのを止めてしまいました。

それ故、僕にとってエレファントマンという映画は、象に襲われた妊婦から産まれた子供は奇形で、象に襲われたからエレファントマンという名前で呼ばれて、大衆にいじめられ続けた男が主人公の映画、という認識なのです。大学の時に友人にツッコまれるまで、本当にそういう風に思ってました。

↑のは見世物小屋のシーンの口上で、実際には原因不明の病気で奇形になってしまったのですね。

本作はエレファントマンと呼ばれる奇形の男ジョン・メリックが、見世物小屋暮らしから抜け出し人間性を取り戻すまでの感動物語。

なんとこのジョン・メリック、実在の人物なのですね。19世紀のイギリスの実話を元にした映画だったのです。ネットで調べればすぐみつかります。本当にあんな頭蓋骨だったのね・・・

なんというか、この映画は、医者がアホ男に怒鳴る「化け物はお前だ!」のセリフと、メリックが「僕は人間だ!」と叫ぶシーン、これらが全てを物語っていますね。

誰よりも純粋なメリックの心は痛々しすぎます。メリックは普通の人間と同じ暮らしをしたかっただけなのです。多くを望んではいません。だからラストシーン、(見てない人はネタばれ注意)メリックは死んでしまうかもしれないのに、普通の人と同じように横になって眠りについたのでしょう。
友人と話をして、劇場に行って劇を観ることができて、思い残すことはもうない、あと一つ、したかったことはベッドで横になることだけ、それだけだったのです。

この映画の批評はまっぷたつに分かれてるみたいです。批判派の多くの意見は「偽善」ってことみたいですね。偽善、大いに結構。人間は偽善で出来てるだろ。僕は自他ともに認める偽善者であります。

感動的なストーリー以外にも、デヴィッドリンチのグロテス趣味と、ジョンモリスの音楽、若きアンソニーホプキンスの熱演などがよかったです。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?