『クルエラ』感想

強烈な美、大好き!!苛烈な性格も大好き!!なので当たり前のように最高でした。

Disney+を契約してMARVELなど色々見てはいましたが、やっぱりDisneyの映画は豪華で派手で面白かった。
イギリスにもファッションにも疎いですが、出てくる全てのオートクチュールやメイクアップ、ヘアアレンジが本当に綺麗で映像だけでも楽しい映画でした。

まぁ、これは101匹わんちゃんかと言われると違うだろうなと思いますが別物として見る分には十分面白かったです。

印象的だったのは、日常や風景の暗さ。
当時は今ほど電灯が普及してないのか?とか質が悪かったのか?とか色々考えましたが、1970年代のイギリスは不況だったということを見終わった後知り納得しました。だからこそ皆がバロネスではなくクルエラのパンクを好み、ファッションに刺激を求めたのかなと。
それからバロネスの業績悪化も、経済的状況が悪いのが原因の一つかなと感じました。収入が少なければければファッションなんて一番最初に切り捨ててしまうものなので。実際私もお金に余裕がないので服は古着屋とかファストファッションにしか手が出ません。本当はシンプルで長く着れる良い物を少しだけ持っていたいのですが。

今よりもかなり男女差があり偏見の多かった時代に自分のブランドを持ち、地位と権利を持っていたバロネスが「才能ある女たちはみんな消えていった。」と言ったのは重く感じました。エステラに才能を感じていたからこそ、これ以上彼女が輝くと自分が食われると恐れていたからか、期待していたからか。“感謝は敗者がするもの”という言葉には全く共感できなかったので嫌味のようにThank youと言いまくるエステラに胸がすく思いでした。結局のところ、最後突き飛ばしたとき人望があれば見て見ぬふりをされたかもしれないし、警察に普段から少しでも優しくしていれば金で解決出来てたかもしれないのでお似合いの退場だったなと。

復讐にあたって人格が変わりエステラではなくクルエラと名乗るようになった彼女の苛烈さは大好きなのですが、それに付き合わされる周りはたまったもんじゃないだろうな。文句を言いつつも、家族に関する事だからと協力してあげるジャスパーとポーレスも本当にいいキャラクターでした。ホーレスは犬に対してちゃんと説明するから可愛い、ワンちゃんたちも賢くて可愛い。アーティもそうだけど皆が魅力的なキャラクターでした。

実の母と娘という筋書きがなくても重鎮vs若き鬼才で面白かったとは思うけど、結局の所は季節の新作の代表作をエステラが作ったことを考えると元々の才能では負けているし、政治ゲームとまでは行かなくても地位と権力をかけた戦いだったのかな〜なんてぼんやり。

視聴し終えてご飯を食べている時も映画のことは頭から離れなかった。
あの時代に女性が代表を務めるのは想像している以上に大変だろうし、エステラが世話係をするようになってすぐに出てきたデパートの嫌味な男たちみたいなのに負けない為には多少法をかいくぐったり相手を蹴落としたりしないと生き残れなかったと思うと、バロネスも現代に生まれていたらあれほど苛烈になっただろうかとふと思った。

今はあれほど露骨ではないにしろ、やはり性差というものはあるし、かなり変わりつつはあるが依然として男性社会の中で私は女として生きていかなくてはいけない。
生きていると身につけなければいけないと思っていたことが、日本を離れてみると案外必要なかったりする。
愛嬌だったり誠実さだったりも真っ直ぐだと利用されるのかな、なんて感じるような嫌な出来事もある。
何となく『クルエラ』は強く賢く好きな事して生きろって言ってくれてるみたいで結構好きだった。

彼女のように優れた才能はない(もしくはまだ開花してない)から手持ちの武器で、愛嬌だとかそういうものも全部使って幸せに生きたいなと 考えさせてくれる素敵な映画でした。


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