オリジナル ◆ 遺書
これを読んでいるという事は、私は生きていないでしょう。
貴女にこの手紙が届くかどうか、賭けてみたけど、結果を知ることのできない賭けはやっぱり面白くないものですね。
先に謝らせて下さい。
約束、守れなくてごめん……
先に逝くのは貴女で、それを見送るのが私との約束でした。
絶対に守ると言ったのに、本当にごめん。
貴女を大切に思う気持ちは変わっていません。
出逢ってからずっと……
笑顔も、泣き顔も、怒った時も、全部が好きでした。
手作りのご飯も、時々失敗するクッキーも、いつも一緒に食べるのが幸せでした。
一緒に過ごした日々は、私にとって本当に楽しくて、暖かかった。
本当はもっとずっと、貴女の側に居たかった。
旅行にも、キャンプにも、プラネタリウムにも、行けないままになってしまってごめん。
大切な貴女に、もっと笑顔で居てほしかった。
私は貴女を愛しています。灰になったいまでも変わらず愛しています。
けれど、貴女の隣にはもう居る事は出来ません。
私の身体は、裂かれ、、ちぎられ、折られ、砕かれて、貴女の中に溶け込んで、そして消化されてしまっているでしょう。
そうでない部分は、業火に焼かれ、灰と化しているでしょう。
そしてきっと、その灰も貴女に取り込まれる事でしょう。
貴女がこの手紙を読んでいるということは、私の日記を探し当て、全てを読んだ上でバラバラにしたからだと、私には分かります。
読まれてしまったのは恥ずかしいけれど、日記の中の私もまた、本当の私です。
いたい。
苦しい。
熱い。
痛い。
それでも、貴女の側に居たかった。
その気持ちは変わりません。
でも、私の心は壊れていました。
私の身体を切り裂く貴女の顔が、愛おしくて好きでした。
私の骨を美味しそうにしゃぶる貴女は可愛かった。
なのに私の心は壊れていきました。
きっと、もう数日、ほんの数日を過ごしたら、私は私でいられなかったはずです。
貴女を愛した、貴女を大切に、思う私のままで居たいとおもってしまったことを、どうか許してもらえますか。
きっと許してはもらえないでしょう。
けれど、どうか、どうか、許してほしい。
貴女を恨むことも、憎しむことも、嫌いになることもないまま、どうか逝かせてほしい。
私は、貴女を愛しています。
共に過ごした、全ての時間を愛おしいと思っています。
ただ、一つだけお願いがあります。
約束を先に破った私が、お願いするのっはお門違いだと分かっています。
それでも、お願い……
私を最後にして下さい。
これが私のただ一つのお願いです。
残りの灰を取り込んで、貴女の中に入ったら、貴女はそれで終えて下さい。
貴女の最後に私の欠片は一緒に居られるでしょう。
少しだけ先に逝って、待っているから。
私を最後まで愛してくれた、貴女への、お願いで す。
⭕️月🔼日 貴女へ。
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