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宮脇檀の「松川ボックス」を体験してきた

宮脇檀の代表作と言われる「松川ボックス」という住宅を、体験させてもらった。東京の早稲田あたりにある。1971年に建てられて、1979年に建築学会作品賞をとったそうだ。

構造体はコンクリートでできていて外から見るとイカツい。けれど中に入ると、柱を含めた大部分が木材だ。

木は濃い茶色で、全体的に落ち着いている印象を受ける。こじんまりとしていて、すべてがヒューマンスケールでできている、ということにも気づく。とてもホッとする空間だ。

宮脇檀のことは元から知っていた。雑誌BRUTUSで「ブルーボックスハウス」を最初に見たときに、すごくかっこいい!と思って、そこから好きになった。現代のモダンなデザインなのに、日本人が住みやすいと感じる住居としての性質も全然捨ててないところが好きになった。

その流れで、宮脇さんの本『暮らしをデザインする』も読んだ。建築の難しい理論ではなく、生活のなかでの感覚をベースに自身の好きな暮らしを語るような本で、共感しながら、私自身の感覚も良い方向に変化した。

宮脇檀は「そのデザインが格好いいかどうか」であらゆることを決めていたらしい。自身の建築だけじゃなく子供のおもちゃも。ロック!

「松川ボックス」もそうだが、宮脇檀の住宅にはポップな色使いが見られる。壁の一部、建具など。木材の色と調和するように、少し濃いブルーや、くすみのある黄色が採用されている。
まず、この家に潜むポップさがいい。

細かいデザインにも遊びがある。柱と柱が組み合わさっていることがわざと分かるようにしている、とか。

「松川ボックス」が建築界に評価されている大きな理由に、外側の構造体と内側の内装を意図的に切り離している斬新さ、があるようだ。

たしかに、柱を含めた内装が、壁から離れて宙に浮いている印象がある。内装部分が大きな1つのインテリアのようにも見える。

ただ、これについては面白いとは思いつつも、個人的にはそこまで惹かれなかった。私個人としては、家にはどっしりとしていて欲しい。軽く、浮遊するような感覚はあまり求めていない。

それはおそらく、「どっしり感」に包み込んでくれるような安心を感じるから。私にとって家は、世界で一番安心できる場所であって欲しいからだ。

でも、「どっしり感」と「軽さ」のどちらが好みかは人によって結構分かれるだろう、と思う。

建築家の住宅、また機会があったらまわってみたい。

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